Description of a work (作品の解説)
2009/12/04掲載
Work figure (作品図)
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ホメロス礼賛

 (L'apothéose d'Homère) 1827年
386×515cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

新古典主義最後の画家ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングルが手がけた神話画主題作品の傑作『ホメロス礼賛』。元はルーヴル宮「シャルル10世美術館」の「第9の間」の天井画として制作された本作は、『イリアス』や『オデュッセイア』などの叙事詩の著者として知られる古代ギリシアの偉大なる詩人≪ホメロス≫と、彼を礼讃する45人の偉人・寓意像を描いた作品である。画面中央に配される詩人ホメロスはイオニア様式のパンテオン(万神殿)を背に杖を持ちながら椅子に鎮座している。ホメロスの傍らでは有翼の勝利の寓意像(勝利の女神)が彼に月桂樹の冠を被せようとしており、またホメロスの一段下には彼が手がけた傑作叙事詩≪イリアス(朱色の衣服)≫と≪オデュッセイア(緑色の衣服)≫の寓意像が拝されている。さらにホメロスの周囲にはアレクサンドロス3世(アレクサンドロス大王)、プラトン、アイスキュロス、ウェルギリウスなど始め、アペレス、ラファエロ、フェイディアス、ニコラ・プッサン、ラシーヌ、さらにはダンテなど合計45人もの歴史上の偉大な人物や芸術家、詩人などが時代を問わず描き込まれている。本作で最も注目すべき点は、本作で用いられる新古典主義的様式美と描かれる主題の意味にある。極めて堅牢で厳格的な左右対称性の高い構図が用いられる本作の典型的な新古典主義の様式美は、本作の主題となる古代・古典への礼讃そのものを表している。これは新古典主義者であるアングルの古代・古典に対する意思表現そのものであるとも言える。さらに本作に登場する人物はアングルが影響を受けてきた歴史上の人物でもあり、そのような点から本作は画家の人生の縮図的な側面も見出すことができる。なお本作は1855年にパリ万国博覧会へと出品された際に「第9の間」から取り外され、現在は模写が展示されている。


【全体図】
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画面の中央へ配されるホメロス。元はルーヴル宮「シャルル10世美術館」の「第9の間」の天井画として制作された本作は、『イリアス』や『オデュッセイア』などの叙事詩の著者として知られる古代ギリシアの偉大なる詩人≪ホメロス≫と、彼を礼讃する45人の偉人・寓意像を描いた作品である。



【画面の中央へ配されるホメロス】
ホメロスへ月桂樹の冠を授ける勝利の寓意像。ホメロスの傍らでは有翼の勝利の寓意像(勝利の女神)が彼に月桂樹の冠を被せようとしており、またホメロスの一段下には彼が手がけた傑作叙事詩≪イリアス(朱色の衣服)≫と≪オデュッセイア(緑色の衣服)≫の寓意像が拝されている。



【月桂樹の冠を授ける勝利の寓意像】
ホメロスが手がけた叙事詩オデュッセイアの寓意像。極めて堅牢で厳格的な左右対称性の高い構図が用いられる本作の典型的な新古典主義の様式美は、本作の主題となる古代・古典への礼讃そのものを表している。これは新古典主義者であるアングルの古代・古典に対する意思表現そのものであるとも言える。



【叙事詩オデュッセイアの寓意像】
歴史上の人物であるフランス古典主義の画家ニコラ・プッサン。本作に登場する人物はアングルが影響を受けてきた歴史上の人物でもあり、そのような点から本作は画家の人生の縮図的な側面も見出すことができる。



【古典主義の画家ニコラ・プッサン

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