Description of a work (作品の解説)
2010/09/27掲載
Work figure (作品図)
■ 

レオナルド・ダ・ヴィンチの死


(La mort de Léonard de Vinci) 1818年
40×50.5cm | 油彩・画布 | プティ・パレ美術館(パリ)

19世紀フランス新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル作『レオナルド・ダ・ヴィンチの死』。1824年のサロン出品作としても知られる本作は、美術史家としても知られる16世紀イタリアの画家兼建築家ジョルジョ・ヴァザーリが編纂した≪美術家列伝≫に典拠を得て、ルネサンス三大巨匠のひとりレオナルド・ダ・ヴィンチが晩年、当時のヴァロワ朝第9代フランス国王フランソワ1世の招きにより同地を訪れ余生を過ごすものの、1519年の5月2日にクルーの館(クロ・リュッセ)で客死したという場面を脚色して描いた作品である。画面中央よりやや左側へ描かれる寝台(ベッド)へは老いたレオナルドが今まさに天上へ召されたのであろう白々とした姿で描き込まれており、その亡骸をフランソワ1世が(死を確かめるように)強く抱き寄せている。史実としてこのような出来事があったとは伝わっていないものの、両者の姿には老いたルネサンスの大巨匠と芸術家の庇護者としても名高い偉大なる王フランソワ1世の厚い友情と親交の深さを感じることができる。そしてレオナルドの傍らのテーブルには書物と黄金の十字架が置かれ、寝台の周囲には従者や司教など複数の人々が精緻な筆さばきで丹念に描かれている。本作の寝台や机、椅子などの構成要素や直立的な人物描写による水平・垂直の強調や、正確なデッサンによる当時の考古学に基づいた写実性の高い描写手法など新古典主義の典型的な様式は極めて秀逸の出来栄えであり、また斜的なフランソワ1世の姿態と呼応する椅子の肘掛など細部の計算された構成にも目を見張るものがある。


【全体図】
拡大表示
レオナルドの亡骸を抱き寄せるフランソワ1世。1824年のサロン出品作としても知られる本作は、ルネサンス三大巨匠のひとりレオナルド・ダ・ヴィンチが晩年、当時のフランス国王フランソワ1世の招きにより同地を訪れ余生を過ごす中、1519年5月2日にクルーの館で客死したという場面を脚色して描いた作品である。



【レオナルドを抱き寄せるフランソワ1世】
傍らに配された書物や十字架。画面中央よりやや左側へ描かれる寝台(ベッド)へは老いたレオナルドが今まさに天上へ召されたのであろう白々とした姿で描き込まれており、その亡骸をフランソワ1世が(死を確かめるように)強く抱き寄せている。



【傍らに配された書物や十字架】
悲痛な表情で司教を案内する従者。本作の寝台や机、椅子などの構成要素や直立的な人物描写による水平・垂直の強調や、正確なデッサンによる当時の考古学に基づいた写実性の高い描写手法など新古典主義の典型的な様式は極めて秀逸の出来栄えである。



【悲痛な表情で司教を案内する従者】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ