2006/04/15掲載
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聖コスマスと聖ダミアヌスの殉教1440年頃(The Martyrdom of the Saints Cosmas and Damian) 36×46cm | テンペラ・板 | ルーヴル美術館(パリ)
処刑人によって斬首される聖コスマス。本作に描かれる≪聖コスマスと聖ダミアヌス≫はアラビアに生まれた双生児で、キリキアで医学を修得した後、病弱者や動物に外科的手術を含めた治療をおこない救済するも、ディオクレティア帝の迫害によって捕らえられ焚刑や投石などの刑に処され、最後は斬首によって殉教した双子の聖人であり、依頼主であるメディチ家の守護聖人としても知られている。
【処刑人によって斬首される聖コスマス】
聖コスマスと聖ダミアヌスに先立ち斬首された受刑者。本作では画面左部分に処刑者と聖コスマスと聖ダミアヌスに先立ち斬首された受刑者を、画面右部分には刑の執行を目撃する兵士たちを配し、中央には今まさに斬首されようとしている聖コスマスと聖ダミアヌスを描きこの伝説的な逸話を表現している。
【聖人らに先立ち斬首された処刑者】
秀逸な出来栄えを見せる物語的な背景描写。この背景中央に整列され描写される五本の樹木は斬首によって殉教した聖コスマスと聖ダミアヌスを含む五人の殉教者を表し、観者の目線が自然と聖コスマスと聖ダミアヌスに向くよう仕向けられている。
【秀逸な出来栄えの物語的な背景描写】 |