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ヤコポ・ベッリーニ Jacopo Bellini
1400-1471 | イタリア | 初期ルネサンス ヴェネツィア派
15世紀に活躍した画家であり、ヴェネツィア派の始祖。息子はヴェネツィア派絵画様式を確立した巨匠
ジョヴァンニ・ベッリーニ
。
ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ
の弟子としての記録が1423年フィレンツェに残されている。1436年のヴェローナ大聖堂の壁画≪キリストの磔刑≫や、1460年二人の息子(ジェンティーレと
ジョヴァンニ
)と共に手がけたパドヴァのサンタントニオ聖堂ガッタメラータ礼拝堂の壁画、1465年に制作されたサン・ヨハネ同信会館の連作壁画などが制作記録として残っているが、現在これらの作品を始めとして主要作品の大部分は消失している。その作風はイコンや国際ゴシック様式の影響が強く残っているが、現在も残る素描では遠近法を用いた空間表現がなされており、所謂初期ルネサンス様式の研究も認められている
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聖母と祝福する幼児キリスト
1448年頃
(Madonna con il Bambino benedicente)
50×45cm | テンペラ・板 | ブレラ美術館(ミラノ)
カザルフィウマネーゼ・ディ・イーモラのセルヴィーテ聖堂が旧蔵し、現在はミラノのブレラ美術館に所蔵されるヤコポ・ベッリーニの代表的な宗教画『聖母と祝福する幼児キリスト』。薄く慈しみの笑みを浮かべる聖母マリアと、威厳すら感じる祝福のポーズをとる幼子キリストの姿を描いた本作は、全15作品と現存作品の極めて少ないヤコポ・ベッリーニを研究する上でも特に重要視されている。またブレシアのタディーニ美術館にも同名の作品が所蔵されている。本作は額外に戴冠された聖母の頭が描かれるなど、通例となっている聖母子像とは異なっている。また周辺には1448と制作年記が記される。王の中の王として降誕した神の子キリストの神格性が、ヤコポ・ベッリーニの熟練した技法によって強く表現されている。
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【全体図】
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ケルビムの聖母
1450年頃
Madonna col Bambino (Madonna del cherbini)
94×66cm | テンペラ・板 | アカデミア美術館
現在、ヴェネツィアのアカデミア美術館に所蔵されるヴェネツィア派絵画の始祖ヤコポ・ベッリーニの代表的な聖母子画『ケルビムの聖母』。確認されているヤコポ・ベッリーニ15点中、実に10点近くが聖母子を主題にした作品だが、本作はその中でも最も良作とされる作品のひとつで、画面の著しい劣化が認められるが、ヤコポ・ベッリーニが強く影響を受けたイコンや国際ゴシック様式の面影が残っている。聖母子の慈愛深い表情や鮮やかな朱色で表現されたキリストの衣服など注目すべき点は多い。国際ゴシック様式の影響から弱冠平面的に描かれる聖母子像だが、その豊かな表情や、精神性を表現したポーズなど画家の特徴がよく表れている。また背景にみられる細密に描かれる幼児の姿をした天使の顔などからは、ギリシャ正教会やロシア正教会などの東方教会で礼拝の対象とした聖画像≪イコン≫の影響が見受けられる。
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