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暗い日 (The Gloomy Day) 1565年
118×163cm | 油彩・板 | ウィーン美術史美術館 |
季節ごとの農民の生活を描く連作月暦画の1点『暗い日』。ブリューゲルの友人でありアントウェルペンの裕福な金融商人ニコラース・ヨンゲリンクの邸宅の装飾画として制作された本作を含む連作月暦画は2ヶ月毎の生活を描いた合計6点からなる作品群だと推測されているも、現存は5点で、『春(4月・5月)』を表す作品が消失している。本作は初期の代表作『謝肉祭と四旬節の喧嘩』に登場する人物に似た者が描かれる点などから、おそらく2月・3月を描いた作品であると考えられる(2月は謝肉祭の月)。薄塗りで手がけられた風景描写や、生活観を如実に感じさせる農民の生々しい姿、冬季らしい鈍い光彩による暗部の表現など本作には各所にブリューゲルの特徴を感じさせる。
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