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悪女フリート (Dulle Griet (Mad Meg)) 1562年 | 油彩・板
115×161cm | マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美術館 |
農民画家ピーテル・ブリューゲルを代表する風刺画のひとつ『悪女フリート』。制作の経緯は現在も不明である本作は、一般的に当時流布していた男性を支配する強い女性の主題(例:ズボン獲得闘争など)を意図に、手におえない性格の悪い女を象徴する名称フリートから「地獄の入り口で略奪し、無傷で帰還した」というフランドルの諺を描いたものとされている。中央やや左寄りに描かれる悪女フリートは右手に闘争を象徴する剣を、左手に家庭と生活を象徴する食料や食器の入った鍋を持っている。そのまわりで徘徊する異教的な生物(悪魔)は先人ヒエロニムス・ボスの多大な影響を感じさせ、画面右部で悪魔と対峙し闘争する女性(主婦)群像は、当時の社会において強さを増した女性たちに対する画家の鋭い考察と風刺を示している。
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