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若い婦人の肖像(ラ・フォルナリーナ)
1518-1519年
Ritratto di giovane donna (La Fornarina)
85×60cm | 油彩・板 | ローマ国立美術館
ラファエロが死去しローマのパンティオンへ埋葬されてから60年の後に発見された、この『若い婦人の肖像』、通称ラ・フォルナリーナ。本作は
ラ・ヴェラータのモデルと同様パン屋の娘(本名はマルゲリータ・ルティと言われている)を描いたものだとされ、多くの点で類似点を発見することができる。描かれた時期は
ラ・ヴェラータを描き終えてから約2年後とされ、今だ忘れることのできないフォルナリーナへの想いから、ビビエーナ枢機卿から姪のマリアとの結婚に踏み切れず、マリアが病で亡くなった後も、宮廷画家としての立場や枢機卿への配慮からフォルナリーナと結ばれることができなかったラファエロが密かに描き、最後まで手放さなかったために遺品に埋もれ、発見が遅れたとされている。その証拠に、本作の右下部分には非販売を示す『E.I』のサインが画家の直筆によってなされている。
関連:
『ヴェールを被る婦人の肖像(ラ・ヴェラータ)』