2007/07/19掲載
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ディアナとアクタイオン(Diana e Attone) 1556-1559年頃188×206cm | 油彩・画布 | スコットランド王立美術館 ※スペイン国王フェリペ2世のためのポエジア作品 関連:対画 『ディアナとカリスト』 関連:1559年頃 『ディアナとアクタイオン(アクタイオンの死)』
とっさに左手で布を取り、裸体を隠そうとする女神ディアナ。本作に描かれる主題は、古代ギリシアの都市国家テバイの王カドモスの孫アクタイオンが狩猟の帰路につく途中で洞窟に立ち寄った際、女神ディアナや女神に仕えるニンフたちの水浴場面に遭遇してしまった為、女神ディアナの逆鱗に触れてしまい、姿を牡鹿へと変えられる逸話≪ディアナとアクタイオン≫である。
【裸体を隠そうとする女神ディアナ】
思わず身を怯め、後ろへ仰け反るアクタイオン。晩年期のティツィアーノらしい輝きを帯びた豊潤で多様な色彩によって登場人物らの生命感に溢れる姿が見事に表現されており、特に仰け反るアクタイオンの躍動的な運動性や、女神ディアナの白い輝きを帯びた官能的な肌の質感は特筆に値する出来栄えである。
【後ろへ仰け反るアクタイオン】
驚き戸惑うニンフとアクタイオンに気づかないニンフ。フェリペ2世に送られたかは不明であるが、1559年頃に同氏の為に手がけた同主題の別作品『ディアナとアクタイオン(アクタイオンの死)』がロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。
【アクタイオンに気づかないニンフ】 |