Description of a work (作品の解説)
2006/06/19掲載
Work figure (作品図)
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フローラ

 (Flora) 1515年頃
79×63cm | 油彩・画布 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

盛期ルネサンス期ヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノ初期の代表的な単身像作品『フローラ』。本作は実在の人物を描く肖像画として制作されたのではなく、ローマ神話における花と豊穣の女神≪フローラ≫に由来する、一般の者のほか神官や売春婦なども参加する祭事『フロラリア祭』の主役≪娼婦フローラ≫を寓意的に描いたものである。花と豊穣の女神≪フローラ≫に由来する≪娼婦フローラ≫の姿は現世での愛の暗示の具象的存在としてティツィアーノの人間の理想美的解釈に基づき、生命と官能の喜びに満ちた豊かな表現が為されている。これは当時の代表作である『聖愛と俗愛』にも示されるよう、ティツィアーノにおける人間賛歌を高らかに謳ったルネサンス的思想が最も顕著に表現された優れた一例として、現在も人々に深く愛され続けているのである。


【全体図】
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生命と官能の喜びに満ちた娼婦フローラの表現。本作は実在の人物を描く肖像画として制作されたのではなく、ローマ神話における花と豊穣の女神≪フローラ≫に由来する、一般の者のほか神官や売春婦なども参加する祭事『フロラリア祭』の主役≪娼婦フローラ≫を寓意的に描いたものである。



【生命と官能の喜びに満ちたフローラ】
細部まで丁寧に描かれる衣。≪娼婦フローラ≫の姿は現世での愛の暗示の具象的存在としてティツィアーノの人間の理想美的解釈に基づき、生命と官能の喜びに満ちた豊かな表現が為されている。



【細部まで丁寧に描かれる衣】
花と豊穣の女神フローラの由来を示す右手の花々。当時の代表作である『聖愛と俗愛』にも示されるよう、本作はティツィアーノにおける人間賛歌を高らかに謳ったルネサンス的思想が最も顕著に表現された優れた一例として、現在も人々に深く愛され続けているのである。



【女神フローラの由来を示す右手の花々】

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