Description of a work (作品の解説)
2009/07/20掲載
Work figure (作品図)
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ガッザーダの風景

 (Veduta della Gazzada) 1744年
65×100cm | 油彩・画布 | ブレラ美術館(ミラノ)

18世紀イタリアを代表する景観画家ベルナルド・ベロット初期の最も重要な作品のひとつ『ガッザーダの風景』。本作は画家が23歳頃にロンバルディア州を旅していた時に、バレーゼ近郊の小村≪ガッザーダ≫の情景を描いた風景画作品で、偉大なる師カナレットの影響からの逸脱と独自の様式確立が示される作品としてベルナルド・ベロットの作品の中でも特に重要視されている。画面上下のほぼ中央を境界に、下部へは前景として穏やか小村の光景と素朴な村人の活き活きとした生活が繊細で緻密な筆触によって丹念に描き込まれている。画面上部へは中景〜遠景として林と小丘、そして青々とした山脈と広大に広がる空が配されており、ロンバルディア地方独特の大気感や、初秋を感じさせる季節的な秋風が大雲を流す様子などが見事な出来栄えを示している。本作で最も注目すべき点は、叔父でもあった師カナレットの様式とは明らかに一線を画す透明感に溢れた光の表現や空気感、画面全体から醸し出される詩情性にある。明瞭な陰影と緻密な描写によって際立つ家屋とその屋根の薄板ひとつひとつは陽光によって、あたかも光の粒として輝くかのように浮かび上がり、その奥の薄靄がかかる湿潤的な森林との対比は観る者の目を強く惹きつける。さらに夏の終わりを感じさせる秋風が大雲を流し散らす様子には、微かな感傷性を見出すことができる。このような観る者を圧倒する写実的描写の中に抒情的印象をも取り入れた風景描写は画家独自の様式の大きな特徴であり、本作にはベルナルド・ベロットの景観画家としての才覚の萌芽が明確に示されているのである。


【全体図】
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小村に建てられる教会の緻密な描写。本作は画家が23歳頃にロンバルディア州を旅していた時に、バレーゼ近郊の小村≪ガッザーダ≫の情景を描いた風景画作品で、師カナレットの影響からの逸脱と独自の様式確立が示される作品としてベルナルド・ベロットの作品の中でも特に重要視されている。



【小村に建てられる教会の緻密な描写】
素朴な村民の長閑な情景。明瞭な陰影と緻密な描写によって際立つ家屋とその屋根の薄板ひとつひとつは陽光によって、あたかも光の粒として輝くかのように浮かび上がり、その奥の薄靄がかかる湿潤的な森林との対比は観る者の目を強く惹きつける。



【素朴な村民の長閑な情景】
湿潤な空気を感じさせる大気的表現。夏の終わりを感じさせる秋風が大雲を流し散らす様子には、微かな感傷性を見出すことができ、観る者を圧倒する写実的描写の中に抒情的印象をも取り入れた風景描写は画家独自の様式の大きな特徴である。



【湿潤な空気を感じさせる大気的表現】

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