Description of a work (作品の解説)
2008/05/22掲載
Work figure (作品図)
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狩りから帰るディアナ

(Retour de chasse de Diane) 1745年
94×132cm | 油彩・画布 | コニャック=ジェ美術館(パリ)

盛期ロココ美術時代における最大の画家のひとりフランソワ・ブーシェの典型的な作例のひとつ『狩りから帰るディアナ』。おそらく『田園の内緒ごと』や『田園の化粧』、『説き伏せられたエーリゴネー』と共に、シャルトル公フォリー・ド・シャルトル城の戸口上部のために制作された4点の装飾画の中の1点である本作は、純潔の象徴であり、多産や狩猟を象徴する地母神でもあるローマ神話上の女神≪ディアナ(ディアナはギリシア神話のアルテミスと同一視される)≫が狩りを終え、帰路に着く前に、数人のニンフらと収獲した獲物を品定めする情景を描いた作品である。制作後、一部画布が継ぎ足されていることが判明している本作の画面左部分では、狩りを終えた女神ディアナが太い木の幹に腰を下ろし、足首まで巻かれた装飾的な靴紐を解いている。その姿態はどこまでも優美でありながら、足を組み、左手で青色の紐を解く瞬間の動作や曲線美には類稀な官能性を見出すことができ、そこに女神ディアナが内面に抱く本来の荒々しい気性は微塵も感じられない。さらに一際明瞭な光が当てられるディアナの胸部の輝くような白い肌の質感を始めとした裸婦表現は、『水浴のディアナ』など生涯で画家が数多く手がけたディアナを画題とした作品の中でも特に優れた作品のひとつとして広く認知されている。画面右部分にはディアナの従者として狩りに同行したニンフが三人配されており、ディアナが仕留めた野鳥を品定めしている。この三人の中の最も手前のニンフはディアナと対するかのように類似した姿態で描かれており、身に着ける青色と黄色の衣服の色彩的対比の美しさも特筆に値するものである。

関連:ロサンゼルス美術館所蔵 『田園の内緒ごと』


【全体図】
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純潔の象徴であり、多産や狩猟を象徴する地母神でもあるローマ神話上の女神ディアナの姿。本作はおそらく『田園の内緒ごと』や『田園の化粧』、『説き伏せられたエーリゴネー』と共に、シャルトル公フォリー・ド・シャルトル城の戸口上部のために制作された4点の装飾画の中の1点である。



【ローマ神話上の女神ディアナの姿】
非常に官能的な女神ディアナの姿態。本作に描かれるディアナの姿態はどこまでも優美でありながら、足を組み、左手で青色の紐を解く瞬間の動作や曲線美には類稀な官能性を見出すことができ、そこに女神ディアナが内面に抱く本来の荒々しい気性は微塵も感じられない。



【非常に官能的な女神ディアナの姿態】
ディアナの従者として狩りに同行したニンフたち。この三人の中の最も手前のニンフはディアナと対するかのように類似した姿態で描かれており、身に着ける青色と黄色の衣服の色彩的対比の美しさも特筆に値するものである。



【従者として狩りに同行したニンフたち】

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