Description of a work (作品の解説)
2008/09/03掲載
Work figure (作品図)
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画架の前の自画像(イーゼルの前の自画像)

 1779年頃
(Autoportrait (Portrait de Chardin au chevalet))
40.5×32.5cm | パステル・紙 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランスのロココ美術時代に活躍した偉大なる画家ジャン・シメオン・シャルダン最晩年の自画像作品『画架の前の自画像(イーゼルの前の自画像)』。本作はおそらく1779年のサロンに出品された3点の頭部習作の中のひとつであると推測されており、画家がその生涯で数点制作していることが判明している自画像作品において最後に手がけられた自画像としても知られている。シャルダンは1771年に(画架は描かれないものの)本作とほぼ同様の構図・構成で自画像『鼻眼鏡をかけた自画像』を制作しているが、本作はそれと比較してみると、より謙虚なシャルダン自身の、そして画家としての姿を見出すことができる。画面中央から左側にかけて大きく描かれるシャルダンの頭部(顔)と上半身は、さすがに80歳を超えた年齢を感じさせるように痩せ衰えているが、その眼差しには在るがままの対象(又は自分自身)を実直に見据えるような強さと誠実さが感じられる。さらに明暗対比の大きな陰影表現を用いながら、そこにある種のシャルダンが最晩年に抱いていた穏やかな感情すら示したような深遠な心理的描写には、かねてから17世紀オランダ絵画黄金期の巨匠レンブラント・ファン・レインの影響(シャルダンは晩年期にレンブラントの作品を研究していたことが判明している)が指摘されており、画家がその後如何なる心境に至った点など更なる研究が期待されている。また色彩表現においても頭部で用いられる頭巾(ボンネット)の清潔な白色とリボン状の頭帯の鮮やかな青色の色彩的対比や右手に持たれる筆記具の赤色のアクセント的な使用など注目すべき点は多い。

関連:1771年制作 『鼻眼鏡をかけた自画像』


【全体図】
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在るがままの対象を実直に見据える画家の眼差し。本作に描かれる画家の姿はさすがに80歳を超えた年齢を感じさせるように痩せ衰えているが、その眼差しには在るがままの対象(又は自分自身)を実直に見据えるような強さと誠実さが感じられる。



【対象を実直に見据える画家の眼差し】
鮮やかな白色と青色の色彩的対比。明暗対比の大きな陰影表現を用いながら、そこにある種のシャルダンが最晩年に抱いていた穏やかな感情すら示したような深遠な心理的描写には、かねてから17世紀オランダ絵画黄金期の巨匠レンブラント・ファン・レインの影響が指摘されている。



【鮮やかな白色と青色の色彩的対比】
右手で持たれる赤色の筆記具。本作はおそらく1779年のサロンに出品された3点の頭部習作の中のひとつであると推測されており、画家がその生涯で数点制作している自画像作品において最後に手がけられた自画像としても知られている。



【右手で持たれる赤色の筆記具】

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