Description of a work (作品の解説)
2008/12/22掲載
Work figure (作品図)
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銅製の給水器

 (La fontaine de cuiver) 1733年
28.5×23cm | 油彩・板 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランスの重要な画家ジャン・シメオン・シャルダンの代表的作品『銅製の給水器』。本作は画家の最初の妻マルグリット・サンタールの没後に作成された財産目録に記されているシャルダン一家が所有していた25ルーブルという当時としては非常に高額な評価を受けている≪赤銅製の給水器≫を描いた作品で、この給水器は『買い物帰りの女中』など画家の他の作品にも度々登場しているほどシャルダンにとって愛着のある画題でもあった。画面中央にどっしりと配される赤銅製の蓋のついた給水器は正面よりほんの少し左側に蛇口が付けられており、給水器を支えている木製の脚は重量に耐えられるよう太く頑丈そうである。さらに給水器の前には簡素な洗い桶や柄杓、黒色の水壷などが配されており、それらからは装飾性の全く無い日常的な生活感に溢れている。一見すると全く見所がない作品のようにも思えるが、本作から滲み出るシャルダンの対象に対する実直で真摯な眼差しや、絵画的な飾り気を一切除外した現代的とも言える造形の単純性、非常に日常へ密着した風俗的展開などは画家の全ての作品の中でも特に優れた出来栄えを示している。また本作に用いられる褐色的な色彩と背後の黄灰色的な壁の表現も注目すべき点である。特に給水器の蛇口付近の金属的な光沢と、柄杓の鈍い輝き、そして黒壷の艶やかな光の反射の微妙な差異と、(背後の壁を含む)硬質的な各物質の質感の見事な描き分けは観る者へ強い印象を残すことに成功している。


【全体図】
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赤銅製の給水器に付けられた蛇口。本作はシャルダン一家が所有していた≪赤銅製の給水器≫を描いた作品で、この給水器は『買い物帰りの女中』など画家の他の作品にも度々登場しているほどシャルダンにとって愛着のある画題でもあった。



【赤銅製の給水器に付けられた蛇口】
高額の給水器の前に置かれる簡素な洗い桶。本作から滲み出るシャルダンの対象に対する実直で真摯な眼差しや、絵画的な飾り気を一切除外した現代的とも言える造形の単純性、非常に日常へ密着した風俗的展開などは画家の全ての作品の中でも特に優れた出来栄えを示している。



【給水器の前に置かれる簡素な洗い桶】
艶やかな光沢を放つ黒色の水壷。給水器の蛇口付近の金属的な光沢と、柄杓の鈍い輝き、そして黒壷の艶やかな光の反射の微妙な差異と、(背後の壁を含む)硬質的な各物質の質感の見事な描き分けは観る者へ強い印象を残すことに成功している。




【艶やかな光沢を放つ黒色の水壷】

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