Description of a work (作品の解説)
2008/06/10掲載
Work figure (作品図)
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買い物帰りの女中

 (La pourvoyeuse) 1739年
47×38cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀ロココ様式隆盛期に活躍した巨匠ジャン・シメオン・シャルダンの最も代表的な風俗画作品のひとつ『買い物帰りの女中』。本作に描かれるのは、買い物から帰宅した女中(もしくは農婦、庶民の女)の姿である。本画題は本作以外にもベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に所蔵される作品と、カナダ国立美術館(オタワ・ナショナル・ギャラリー)に所蔵される作品の二つのヴァリアントが制作されたことが知られており、この三点の中でおそらくは本作が原図であり、1739年のサロンに出品されたのがカナダ国立美術館所蔵の作品と推測されている。19世紀の画家アンリ・ファンタン=ラトゥールも本作の模写を残しているよう、当時から画家の代表作と看做されてきた本作の画面中央に描かれる女中の左脇には大量のパンを棚に置き、右手では夕食の材料と思われる骨の付いた鳥の足が入った袋を手にしている。その表情は、ほっと一息ついているかのような帰宅後の安堵を感じさせる。一方、画面左側部分には背景として奥の部屋で若い女中がさらに隣の室内へと入っていく姿と、銅製の給水器がひとつ描かれている。画面前景の買い物帰りの女中の居る室内のやや暗い光と奥の部屋の明瞭な光の明確な対比は17世紀フランドル(ネーデルランド)の風俗画の影響を感じさせるが、本作の庶民階級層の生活の野卑な雰囲気を全く感じさせず、むしろ温もりと優しさに溢れた静謐な場面描写や、独特の色彩描写による高度な詩情性の表現はシャルダンの風俗画における最も大きな特徴であり、現在でも観る者を魅了し続ける。

関連:シャルロッテンブルク宮殿 『買い物帰りの女中』
関連:カナダ国立美術館 『買い物帰りの女中』


【全体図】
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買い物から帰り一息つく女中の姿。本作に描かれるのは、買い物から帰宅した女中(もしくは農婦、庶民の女)の姿である。本画題は本作以外にもベルリンのシャルロッテンブルク宮殿版と、カナダ国立美術館版の二つのヴァリアントが制作されたことが知られている。



【買い物から帰り一息つく女中の姿】
骨の付いた鳥の足が入った袋。当時から画家の代表作と看做されてきた本作の画面中央に描かれる女中の左脇には大量のパンを棚に置き、右手では夕食の材料と思われる骨の付いた鳥の足が入った袋を手にしている。



【骨の付いた鳥の足が入った袋】
明瞭な光に包まれる奥の部屋と若い女中。画面前景の買い物帰りの女中の居る室内のやや暗い光と奥の部屋の明瞭な光の明確な対比は17世紀フランドル(ネーデルランド)の風俗画の影響を感じさせる。



【光に包まれる奥の部屋と若い女中】

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