Description of a work (作品の解説)
2009/03/06掲載
Work figure (作品図)
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皿洗い女

 (La sguattera) 1710-15年頃
寸法不明 | 油彩・画布 | ウフェツィ美術館(フィレンツェ)

18世紀に活躍したイタリアの画家ジュゼッペ・マリア・クレスピを代表する風俗画作品のひとつ『皿洗い女』。本作は簡素な台所で皿洗い作業をおこなう婦人(又は使用人)を画題に、平民の生活感に溢れる情景を描いた風俗画作品である。風俗画は17世紀オランダ絵画黄金期に代表されるよう、フランドル地方からイタリアやフランスを始めとした欧州諸国へと広がった絵画展開であるが、本作にもその影響が顕著に示されている。画面中央奥へと描かれる皿洗いをおこなう女性は、柔らかく繊細な光源処理と、それと対比させる深い陰影表現によって、その作業や仕草があたかも崇高なものであるかのような錯覚を覚えるほどドラマチックで詩情性豊かに描写されている。また女の後姿を中心に描き、顔を見せない(隠す)ことによって≪皿洗い≫という生活に密着した作業の明確化と画題に対する観る者の視線の誘導に成功している。さらに細部に注目しても丁寧な描写による緻密な写実的描写にもフランドル絵画の影響を感じることができる(※本作を手がける前年の1709年からクレスピはフィレンツェへ滞在し、この時、フランドル出身の画家らと接近していたことが知られている)ほか、静謐な場面描写による(庶民性の)気高い精神性の取り組みにも同絵画への傾倒を見出すことができる。


【全体図】
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皿洗いをおこなう女の後姿。画面中央奥へと描かれる皿洗いをおこなう女性は、柔らかく繊細な光源処理と、それと対比させる深い陰影表現によって、その作業や仕草があたかも崇高なものであるかのような錯覚を覚えるほどドラマチックで詩情性豊かに描写されている。



【皿洗いをおこなう女の後姿】
柔らかく繊細な光の表現。風俗画は17世紀オランダ絵画黄金期に代表されるよう、フランドル地方からイタリアやフランスを始めとした欧州諸国へと広がった絵画展開であるが、本作にもその影響が顕著に示されている。



【柔らかく繊細な光の表現】
細部まで緻密に描き込まれた写実的表現。細部に注目しても丁寧な描写による緻密な写実的描写にもフランドル絵画の影響を感じることができるほか、静謐な場面描写による気高い精神性の取り組みにも同絵画への傾倒を見出すことができる。



【細部まで描き込まれた写実的表現】

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