2009/02/12掲載
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蚤を取る女(Donna che si spulcia) 1730年頃55×41cm | 油彩・画布 | サン・マッテオ美術館(ピサ) 関連:ウフィツィ美術館所蔵 『蚤』
必死に衣服の中の蚤を取る女。おそらくはロンドンのオペラ座の支配人オーウェン・マクスウィニーの依頼によって制作された本作は、簡素な寝台(ベッド)の上で己の身体や衣服についた蚤を掻き毟りながら取る姿を描いた風俗画である。
【必死に衣服の中の蚤を取る女】
外出する老婆へ語りかける幼子を抱いた老人。繊細に表現された明瞭な光彩によって簡素な室内と主対象(本作では蚤を取る女)を見事に浮かび上がらせており、観る者は否応なく本作の世界観に惹き込まれる。
【老婆へ語りかける幼子を抱いた老人】
壁に吊るされた大蒜(ニンニク)の束。日常や実生活での体験をそのまま写したかのような風俗描写はフランドルの風俗画作品の影響であるが、クレスピの古典主義的様式と融合することによって、そこに神秘的な魅力が発生している。
【壁に吊るされた大蒜(ニンニク)の束】 |