2008/07/03掲載
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親の居ぬ間に(農婦の子供たち)(Absence des père et mère mise à profit (Endants du fermier)) 1765年頃50×60.5cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館
明瞭な光に照らされる幼い子供たち。ドゥニ・ディドロは本作がサロンに出品された時に残した批評で、農家小屋の中で幼い弟たちの子守をしながら留守番をする若い娘のところへ、若い男(少年)が訪れ、娘を抱き寄せ接吻しようとしている情景と解説している。
【明瞭な光に照らされる幼い子供たち】
暖かく愛くるしい子供達の様子。同時期に制作された『コレシュスとカリロエ(カリロエを救うために自らを生贄に捧げるコレスュス)』と共に1765年のサロンへ出品された作品としても知られている本作はサロンに出品された作品を元としたヴァリアントであるとも推測されている。
【暖かく愛くるしい子供達の様子】 庶民の生活やそこで繰り広げられる情景。(光源が不明であるとの指摘もあるが)強烈な光による明暗の対比や『負けた罰に(盗まれた接吻)』などと同系列の刺激的な風俗的展開はフラゴナールの最も特徴的な個性であり、観る者を魅了する。
【庶民の生活で繰り広げられる情景】
若い男からの接吻を拒絶する娘。若い娘は一見すると男を拒絶するような態度を示しているが、画面手前に描かれる愛くるしい弟らはそれを気にする様子を示していない点や、どこか不道徳(不謹慎)な雰囲気を醸し出している点から、この態度は愛情故の戯れとも理解できる。
【若い男からの接吻を拒絶する娘】 |