Description of a work (作品の解説)
2008/07/03掲載
Work figure (作品図)
■ 

親の居ぬ間に(農婦の子供たち)

 (Absence des père et mère mise à profit (Endants du fermier)) 1765年頃
50×60.5cm | 油彩・画布 | エルミタージュ美術館

18世紀後期ロココ様式随一の画家ジャン・オノレ・フラゴナールが手がけた代表的な風俗画作品のひとつ『親の居ぬ間に(農婦の子供たち)』。同時期に制作された『コレシュスとカリロエ(カリロエを救うために自らを生贄に捧げるコレスュス)』と共に1765年のサロンへ出品された作品としても知られている本作は、当時のフランスで最も著名な思想家(哲学者)のひとりで多大な影響力を持った批評家でもあるドゥニ・ディドロはサロン出品時に残した批評で、農家小屋の中で幼い弟たちの子守をしながら留守番をする若い娘のところへ、若い男(少年)が訪れ、娘を抱き寄せ接吻しようとしている情景としている。画面手前部分に描かれる三人の幼き弟達や二匹の犬は、非常に強い光によって明確に描かれているが、それとは対照的に画面奥でおこなわれる若い娘と男の情事は不必要にすら感じられるほどに薄暗く描かれている。若い娘は一見すると男を拒絶するような態度を示しているが、画面手前に描かれる愛くるしい弟らはそれを気にする様子を示していない点や、どこか不道徳(不謹慎)な雰囲気を醸し出している点から、この態度は愛情故の戯れとも理解できる。この(光源が不明であるとの指摘もあるが)強烈な光による明暗の対比や『負けた罰に(盗まれた接吻)』などと同系列の刺激的な風俗的展開はフラゴナールの最も特徴的な個性であり、観る者を魅了する。また、このような庶民の生活やそこで繰り広げられる情景を画題として挿話的に描いた作品は、その後、フランス国内や英国で流行してゆくことになる為、本作はその早い作例として位置付けられており、しばしばジャン=バティスト・グルーズなどの作品と比較されている。なおディドロの寸評中には「扉から犬が出てくる」と記されているものの、本作にはその点が認められないことから、本作はサロンに出品された作品を元としたヴァリアントであるとも推測されている。


【全体図】
拡大表示
明瞭な光に照らされる幼い子供たち。ドゥニ・ディドロは本作がサロンに出品された時に残した批評で、農家小屋の中で幼い弟たちの子守をしながら留守番をする若い娘のところへ、若い男(少年)が訪れ、娘を抱き寄せ接吻しようとしている情景と解説している。



【明瞭な光に照らされる幼い子供たち】
暖かく愛くるしい子供達の様子。同時期に制作された『コレシュスとカリロエ(カリロエを救うために自らを生贄に捧げるコレスュス)』と共に1765年のサロンへ出品された作品としても知られている本作はサロンに出品された作品を元としたヴァリアントであるとも推測されている。



【暖かく愛くるしい子供達の様子】
庶民の生活やそこで繰り広げられる情景。(光源が不明であるとの指摘もあるが)強烈な光による明暗の対比や『負けた罰に(盗まれた接吻)』などと同系列の刺激的な風俗的展開はフラゴナールの最も特徴的な個性であり、観る者を魅了する。



【庶民の生活で繰り広げられる情景】
若い男からの接吻を拒絶する娘。若い娘は一見すると男を拒絶するような態度を示しているが、画面手前に描かれる愛くるしい弟らはそれを気にする様子を示していない点や、どこか不道徳(不謹慎)な雰囲気を醸し出している点から、この態度は愛情故の戯れとも理解できる。



【若い男からの接吻を拒絶する娘】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ