Description of a work (作品の解説)
2008/01/18掲載
Work figure (作品図)
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連作≪恋の成り行き−冠を受ける恋人(恋人の戴冠)≫


(Amant couronné) 1771-73年頃
317.8×243.2cm | 油彩・画布 | フリック・コレクション

18世紀フランス絵画の画家ジャン・オノレ・フラゴナールの作品中、最も様式的趣味が表れた作品のひとつ『冠を受ける恋人(恋人の戴冠)』。本作は貧民階級層の出身ながら、当時のフランス国王ルイ15世の愛妾(公妾)となり、宮廷内で絶大な権力を得ていたデュ・バリー夫人の依頼によって、(ルイ15世から賜った)ルーヴシエンヌの館の装飾画として1771-73年頃に制作された4点から構成される連作『恋の成り行き』の中の1点である。連作『恋の成り行き』は、『逢引き』『追跡』『付け文(恋と友情)』、そして『冠を受ける恋人』から構成される、若い男女の間の恋の経過(発展)を描いた作品群であるが、本作では二人の恋の成熟の場面が表現されている。画面中央では若く美しい娘(女性)が、恋人となった同じ年頃の男の頭上に(二人の恋の成熟を象徴する)花輪の冠を掲げている。一方、若い娘の一段下では男が娘の手を取り、一心に視線を向けている。また二人の背後には眠りにつく愛の神キューピッドの彫像や、二人の恋の成熟を祝福するかのように薔薇を始めとした花々が咲き誇っているほか、画面の下部には二人の姿をスケッチする男が配されている。画家の得意とした赤色や黄色が効果的に使用された軽やかな色彩や、幸福的な雰囲気、甘美性漂う愛の世界観などが観る者の眼を惹きつける本作は、フラゴナールの作品としては比較的珍しい典型的なロココ様式の展開であり、画家の瞬間を捉える卓越した絵画技法が存分に示されたものではないものの、ロココ独特の趣味とその特徴が良く表れた本作は画家の代表作のひとつとして広く知られている。なお、おそらく新古典様式で改装されたルーヴシエンヌの館に合わないとして、制作後間もない1773年にフラゴナールへと返却された連作『恋の成り行き』であるが、画家はフランス革命勃発後の1790年に『棄てられて(物思い)』という連作の5点目となる作品を制作している。

関連:連作『恋の成り行き−逢い引き』
関連:連作『恋の成り行き−追跡』
関連:連作『恋の成り行き−恋文(付け文、恋と友情)』


【全体図】
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二人の恋の成熟を象徴する花輪の冠を掲げている若い娘。本作デュ・バリー夫人の依頼によって、ルーヴシエンヌの館の装飾画として制作された4点から構成される連作『恋の成り行き』の中の1点で、連作『恋の成り行き』は、『逢引き』『追跡』『付け文(恋と友情)』、そして『冠を受ける恋人』からなる、若い男女の間の恋の経過(発展)を描いた作品群である。



【花輪の冠を掲げている若い娘】
若く美しい娘を一心に見つめる男。画面中央では若く美しい娘(女性)が、恋人となった同じ年頃の男の頭上に(二人の恋の成熟を象徴する)花輪の冠を掲げている。一方、若い娘の一段下では男が娘の手を取り、一心に視線を向けている。



【若く美しい娘を一心に見つめる男】
二人の恋の成熟を祝福するかのように咲き誇る薔薇を始めとした花々。画家の得意とした赤色や黄色が効果的に使用された軽やかな色彩や、幸福的な雰囲気、甘美性漂う愛の世界観などが観る者の眼を惹きつける本作には、ロココ独特の趣味とその特徴が良く表れている。



【恋の成熟を祝福するかのように咲く花】

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