Description of a work (作品の解説)
2008/05/04掲載
Work figure (作品図)
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連作≪恋の成り行き−逢い引き≫


(Rendez-vous) 1771-73年頃
317.5×243.8cm | 油彩・画布 | フリック・コレクション

フランス・ロココ美術の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールを代表する連作≪恋の成り行き≫のひとつ『逢い引き』。本作は貧民階級層の出身ながら、当時のフランス国王ルイ15世の愛妾(公妾)となり、宮廷内で絶大な権力を得ていたデュ・バリー夫人の依頼によって、(ルイ15世から賜った)ルーヴシエンヌの館の装飾画として1771-73年頃に制作された4点から構成される連作『恋の成り行き』の中の1点である。本作は連作『恋の成り行き』の中で最初の場面(第一場面)を表すとされており、一般的には次いで『追跡』、第三場面に『冠を受ける恋人』、そして最後の場面(第四場面)として『付け文(恋と友情)』とされているが、この作品の順序については第三・第四場面を入れ替えるとする説も唱えられている。本作に描かれる若い男女は、その関係が密かなものなのであろう、どこかの城館の庭園を思わせる、美しい木々と薔薇の園の中に置かれるキューピッドを伴う愛の女神の石像の前で密会している。鮮やかな朱色の衣服を身に着ける若い男は、木製の梯子を使い石塀を登って、女の待つ待ち合わせ場所に赴いたばかりのようである(又はこの場を立ち去らんと梯子を降りようとしている)。一方、先に石像の前に来ていた若い女は周囲の様子を注意深く伺う中、物音がしたのだろうか、左手で男に何か合図を送っている。両者の視線は何かを伺うかのように同一方向を向いており、この場面が緊張的空間をより一層、明確にしている。しかし本作で用いられた表現は、緊迫した状況とは相反するかの如く、ロココ様式独特の優美でありながら世俗的で軽薄な雰囲気に満ちている。また明瞭かつ軽快な本作の色彩描写も秀逸で、特に背景に描かれる木々の大気感や幻想性、詩情性に富んだ表現は画家の森林描写の大きな特徴であり、連作『恋の成り行き』の中でも随一の出来栄えを示している。

関連:連作『恋の成り行き−追跡』
関連:連作『恋の成り行き−冠を受ける恋人(恋人の戴冠)』
関連:連作『恋の成り行き−恋文(付け文、恋と友情)』


【全体図】
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左手で男に何か合図を送る若い女。本作は貧民階級層の出身ながら、当時のフランス国王ルイ15世の愛妾(公妾)となり、宮廷内で絶大な権力を得ていたデュ・バリー夫人の依頼によって、(ルイ15世から賜った)ルーヴシエンヌの館の装飾画として1771-73年頃に制作された4点から構成される連作『恋の成り行き』の中の1点である。



【左手で男に何か合図を送る若い女】
鮮やかな朱色の衣服を身に着ける若い男。両者の視線は何かを伺うかのように同一方向を向いており、この場面が緊張的空間をより一層、明確にしている。しかし本作で用いられた表現は、緊迫した状況とは相反するかの如く、ロココ様式独特の優美でありながら世俗的で軽薄な雰囲気に満ちている。



【鮮やかな朱色の衣服を身に着ける男】
大気感や幻想性、詩情性に富んだ森林表現。本作は連作『恋の成り行き』の中で最初の場面(第一場面)を表すとされており、一般的には次いで『追跡』、第三場面に『冠を受ける恋人』、そして最後の場面(第四場面)として『付け文(恋と友情)』とされているが、この作品の順序については第三・第四場面を入れ替えるとする説も唱えられている。



【大気感や幻想性、詩情性に富んだ表現】

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