Description of a work (作品の解説)
2009/08/14掲載
Work figure (作品図)
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音楽愛好家クラブでの女性たちの演奏


(Concerto di dame al casino dei Filarmonici) 1782年
67×90cm | 油彩・画布 | アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)

18世紀ヴェネツィアを代表する景観画家フランチェスコ・グアルディ後期の傑作『音楽愛好家クラブでの女性たちの演奏』。本作は1872年に「北の伯爵」とも呼ばれていたロシア大公パーヴェル・ペトロヴィッチとその妻マリア・トドロヴナがヴェネツィアを訪問した時に、記念として制作された6点の連作の中の1点で、描かれる場面は同年1月20日に老行政長官らの主催によってスカラ・ディ・フィラルモニーチで開催された≪貴婦人のための音楽祭≫である。本作中で音楽を演奏しているのはピエタ女学院の孤児80名で構成される女性交響・合唱団で、かの有名なアントニオ・ヴィヴァルディが指揮に立つ他、フランスの著名な思想家ジャン=ジャック・ルソーも感嘆するなど、当時は欧州各地にまでその名声が轟いていた。本作では交響楽団は画面左側2階(演奏者席)に配され、中央へは優雅に舞踏をおこなう貴婦人たちが秩序的に描き込まれている。本作のこれら現実に忠実な場面描写も注目すべき点ではあるものの、特筆すべきは奏でられる音楽の響きと色彩との融合的表現にある。空気や光の震えを感じさせる独特の筆触によって画面全体は描写されており、その震えは交響楽団の奏でる美しい音楽の調べや響きまでも観る者へ感覚的に伝えることに成功している。さらに人物など各構成要素の明部の強いコントラストは画面の中で心地良い旋律(リズム)を奏でており、観る者に場面の雰囲気までもありありと感じさせる。そしてやや抑制的な全体の色彩構成がそれらを見事に調和させており、類稀な完成度を生み出している。


【全体図】
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画面中央に配される貴婦人たち。本作は1872年に「北の伯爵」とも呼ばれていたロシア大公パーヴェル・ペトロヴィッチとその妻マリア・トドロヴナがヴェネツィアを訪問した時に、記念として制作された6点の連作の中の1点で、描かれる場面は同年1月20日に老行政長官らの主催によってスカラ・ディ・フィラルモニーチで開催された≪貴婦人のための音楽祭≫である。



【画面中央に配される貴婦人たち】
名高いピエタ女学院の交響・合唱団。本作中で音楽を演奏しているのはピエタ女学院の孤児80名で構成される女性交響・合唱団で、かの有名なアントニオ・ヴィヴァルディが指揮に立つ他、フランスの著名な思想家ジャン=ジャック・ルソーも感嘆するなど、当時は欧州各地にまでその名声が轟いていた。



【名高いピエタ女学院の交響・合唱団】
中央に描き込まれた豪奢なシャンデリア。空気や光の震えを感じさせる独特の筆触によって画面全体は描写されており、その震えは交響楽団の奏でる美しい音楽の調べや響きまでも観る者へ感覚的に伝えることに成功している。



【描き込まれた豪奢なシャンデリア】

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