Description of a work (作品の解説)
2009/08/03掲載
Work figure (作品図)
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灰色のラグーナ(ラグーナのゴンドラ)


(Gondola sulla laguna) 1780年頃
25×38cm | 油彩・画布 | ポルディ・ペッツォーリ美術館

18世紀ヴェネツィアの都市景観画家フランチェスコ・グアルディ最大の代表作であり、18世紀景観画(ヴェドゥータ)における傑作中の傑作でもある『灰色のラグーナ(ラグーナのゴンドラ)』。本作はおそらくグアルディが晩年期に差し掛かった1780年頃に制作された、≪ラグーナ(潟湖)≫を行き来するゴンドラを画題とした作品である。画面手前にはラグーナを渡る漕ぎ手とゴンドラが、遠景には数台のゴンドラをヴェネツィアの都市景観が微かに描き込まれるという、他の画家による景観画(ヴェドゥータ)と比較すると非常に地味で簡素な構成ながら、画面全体から醸し出される悲哀的な抒情性と詩情感に溢れた幻想的雰囲気は18世紀におけるヴェドゥータの傑作として今なお観る者の目を惹きつける。これら独特の感受性は景観画(ヴェドゥータ)を確立した偉大なる画家カナレットの様式とは決定的に異なり、都市景観の地理的な正確性や再現性は除外される点も特筆に値するものである。さらに本作で注目すべき点は振るえを帯びた即興的な筆触による繊細な光の表現にある。画面全体が靄のような色彩の暈しに包まれた本作の、決して硬質的ではない柔和な光は水面へ微妙に反射し微妙な色調の変化を生み出している。また本作の抑えられた色数や光の特性に注目した独自的な表現には直接的な関わりは認められないものの、ロマン主義的傾向、さらには印象派にも通じる思想性や世界観を見出すことができる。なお本作は現在、ミラノのポルディ・ペッツォーリ美術館に所蔵されている。


【全体図】
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ラグーナ(潟湖)を行き来するゴンドラ。本作はおそらくグアルディが晩年期に差し掛かった1780年頃に制作された、≪ラグーナ(潟湖)≫を行き来するゴンドラを画題とした作品である。



【ラグーナを行き来するゴンドラ】
悲哀的な抒情性と詩情的雰囲気。非常に地味で簡素な構成ながら、画面全体から醸し出される悲哀的な抒情性と詩情感に溢れた幻想的雰囲気は18世紀におけるヴェドゥータの傑作として今なお観る者の目を惹きつける。



【悲哀的な抒情性と詩情的雰囲気】
地理的な正確性や再現性が除外される景観。本作で注目すべき点は振るえを帯びた即興的な筆触による繊細な光の表現にあり、画面全体が靄のような色彩の暈しに包まれた本作の、決して硬質的ではない柔和な光は水面へ微妙に反射し微妙な色調の変化を生み出している。



【正確性や再現性が除外される景観】

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