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ニコラ・ランクレ Nicolas Lancret
1690-1743 | フランス | ロココ美術
雅宴画(フェート・ギャラント)の代表的画家。軽やかで明瞭な色彩による典雅的表現や、機転の利いた当意即妙な場面描写、抒情的な雰囲気を醸し出す田園風景によって同様式の典型となる作品を制作。
ヴァトーの憂鬱性を感じさせる独特の表現とは異なる、分かり易く明快な作風はフランス国王ルイ15世を始め、プロイセン王フリードリヒ2世やベリンゲン侯爵、収集家クロザなど当時の有力者たちから高い人気を博し、現在では
アントワーヌ・ヴァトーの雅宴画様式を受け継ぎ、
ヴァトーの死後、雅宴画を広めた画家の代表格とされている。1690年、パリで職人一家の息子として生まれ、1703年には(現在は失名の)装飾図案家から絵画を学ぶ。その後、歴史画家ピエール・デュランのアトリエに入門するほか、友人であった
フランソワ・ルモワーヌと共に王立絵画・彫刻アカデミーの学生となり絵画の基礎を習得する。1712年から1718年まで、ヴァトーと同じく雅宴画の確立者のひとりであるクロード・ジロのアトリエで同様式を学び始めるが、同時期に出会った
ヴァトーから雅宴画表現の決定的な影響を受ける。1719年、王立絵画・彫刻アカデミーの正式な会員となり、以後、依頼主からの注文を数多くこなし画家としての確固たる地位を確立、フランス国内はもとより諸外国にまでその名声は轟いた。1743年、パリで死去。