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フランソワ・ルモワーヌ François Lemoyne
1688-1737 | フランス | 古典主義・ロココ美術
ロココ時代に活躍したフランスの歴史・神話・宗教画家。フランス
古典主義時代随一の宮廷画家
シャルル・ル・ブランの流れを汲んだ厳格でアカデミックな大様式の中に明瞭で生気に溢れた色彩と、(特に女性裸婦に多い)優美な人体表現を取り入れ、同時代を代表する歴史画家・神話画家として名を馳せる。また簡潔で清々しい柔軟な構図展開でも高い評価を得て、ロココ様式における新たな歴史画の道を作った。1688年、パリで生まれ、当初は義父であった肖像画家ルヴラック・トゥルニエールに絵画の指導を受け、1701年から1713年まで同時代の画家ルイ・ガロシュに師事。そこで
ルーベンス風の豊かな色彩表現を吸収し、
ル・ブラン様式の絵画様式の中へ導入、1711年にローマ賞大賞を受賞(ただし国庫の財政難の為にこの時点でローマには赴くことはできなかった)。その後、1716年、王立絵画・彫刻アカデミーの準会員に、1718年には正式会員となるほか、この頃パリを訪問していたセバスティアーノ・リッチらヴェネツィアの画家らから明瞭な色彩描写の影響を受ける。1724年ルモワーヌのパトロンであったF・ベルジェの支援によってイタリアのローマ、ナポリ、ヴェネツィアへと旅行。同地での経験によって画家の色彩の明るさが更に増したほか、ヴェネツィア派独特の流麗な筆致も会得。その後、室内装飾画の依頼を数多くこなしながら、1727年、ダンタン侯爵が開催した歴史画コンクールで
ジャン=フランソワ・ド・トロワと共に一等を獲得。1733年、王立絵画・彫刻アカデミーの教授に就任、1736年には国王付首席画家の任に就いたものの、翌1737年、(おそらく体力的・精神的な疲労が限界に達し)自殺。享年49歳。なおルモワーヌは、
シャルル=ジョゼフ・ナトワールや
フランソワ・ブーシェの師であったことも知られており、指導者としても同時代で重要な役割を果たした。