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シャルル=ジョゼフ・ナトワール Charles-Joseph Natoire
1700-1777 | フランス | 古典主義・ロココ美術
18世紀フランスを代表する宮廷画家のひとり。軽快で優美な人物(裸婦)描写や気品と詩情性に溢れる絵画表現を得意とし、ルイ15世様式の典型的な装飾を数多く手がける。画家の手がけた神話・文学・寓意に典拠を得たルイ15世様式による大装飾画はロココ様式の発展に多大な貢献をした。1770年、建築家兼彫刻家の息子としてニームで生まれ、その後パリに赴き画家ガロッシュ、次いで17世紀末から18世紀前半まで活躍した歴史・神話・宗教画家
フランソワ・ルモワーヌから絵画を学ぶ。1721年、ローマ賞を受賞し、1724年から4年間ローマへ留学する。1727年に帰国し、1734年から王立絵画・彫刻アカデミーの会員となる。その後、裕福な貴族階級層のパトロンからの注文を数多く手がけ、特に大規模な装飾画やタピスリーの為の下絵で一躍流行画家となり、画家として確固たる地位を築く。1751年、
ジャン=フランソワ・ド・トロワから引き継ぐ形でローマのフランス・アカデミー会長職に1774年まで就く。会長職就任中は、後世の画家の指導に尽力し画家としての制作活動は減少するものの、ローマの眺望を描いた素描などが数点残されている。1775年に会長職を退任、最晩年は(イタリアの)ラツィオ州ローマ県のカステル・ガンドルフォに隠居し、2年後の1777年に同地で死去。ナトワールの理知的でありながら優雅さと壮麗感に溢れたルイ15世様式の典型となる絵画表現は、
フランソワ・ブーシェと共に盛期ロロコ美術の画家としてフランス絵画史に偉大な功績を残した。