Description of a work (作品の解説)
2009/04/22掲載
Work figure (作品図)
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洞窟内の隠者の食事


(Mahl der Einsiedler in einer Höhle) 1730-40年
118.5×146.5cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

18世紀イタリアの画家アレッサンドロ・マニャスコ晩年期を代表する作品のひとつ『洞窟内の隠者の食事』。本作は名称のとおり、宗教的理由により洞窟内で禁欲生活をおくりながら食事を摂取する隠者を描いた作品である。メディチ家の庇護下で制作活動をおこなった1703年から1706年までのフィレンツェ以降、マニャスコは乞食や浮浪者、隠者、漂泊民(ジプシー)など社会において最下層に属された人々を画題として取り組むようになり、本作にも画家の独特な視線による客観的社会描写を見出すことができる。画面中央には洞窟内の様子としてパンやスープなど質素な食事が地面へ置かれており、それを囲むかのように画面の左右に粗末な身なりの痩せ衰えた隠者が配されている。強烈な明暗対比による場面描写や厚い筆触による形態描写なども優れた出来栄えを示している本作ではあるが、最も注目すべき点はやはりマニャスコの達観主義とも呼べるほどの対象へと向けられた本質へと迫る客観的視線にある。あまりに貧相な隠者の姿や闇を強調した場面描写には当時の社会に対する批判的精神(又はアイロニー)を感じないこともないが、各隠者の姿には悟りにも似た無心的感情を見出すことができ、観る者は隠者たちが胸に抱く宗教的精神の本質を、あくまでも客観的に感じることができる。この決して同情的ではなく、冷酷なまでに客観的な対象への視線こそ画家の作品の大きな特徴であり、今も我々に多くの感銘を与えるのである。


【全体図】
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食事を摂取する隠者たちの姿。本作は名称のとおり、宗教的理由により洞窟内で禁欲生活をおくりながら食事を摂取する隠者を描いた作品で、画家の独特な視線による客観的社会描写を見出すことができる。



【食事を摂取する隠者たちの姿】
地面に置かれる簡素な食事。画面中央には洞窟内の様子としてパンやスープなど質素な食事が地面へ置かれており、それを囲むかのように画面の左右に粗末な身なりの痩せ衰えた隠者が配されている。



【地面に置かれる簡素な食事】
強烈な明暗対比による対象表現。各隠者の姿には悟りにも似た無心的感情を見出すことができ、観る者は隠者たちが胸に抱く宗教的精神の本質を、あくまでも客観的に感じることができる。



【強烈な明暗対比による対象表現】

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