2008/05/01掲載
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フランスの王女たち、ヴィクトワール姫:水(Madame Victoire presonifyung Water) 1751年 106×138cm | 油彩・画布 | サンパウロ美術館 関連:『フランスの王女たち、エリザベト姫:地』 関連:『フランスの王女たち、アンリエット姫:火』 関連:『フランスの王女たち、アデライード姫:風』 水の象徴として描かれる王女ヴィクトワール。当時の皇太子の書斎の装飾画として同氏からナティエが依頼を受け制作された本作は、ブルボン朝第4代フランス王ルイ15世の娘(王女)のひとりヴィクトワールの肖像画である。
【水の象徴として描かれるヴィクトワール】 柔らかな質感や輝きに満ちた光の描写。全身で緩やかなS字の曲線を描く王女の姿態は緩徐的ながら、どこまでも優雅で気品高く、その表情も、絶対的権力者たる王女の地位に相応しく凛と構えつつも、女性特有の繊細で甘美な美しさも兼ね備えている。
【柔らかな質感や輝きに満ちた光の描写】 横倒しにされた大瓶から流れる水。本作はヴィクトワール同様、ルイ15世の娘であったエリザベト、アンリエット、アデライードと合わせて連作的に制作された肖像画作品であり、各々が(当時は宇宙を構成する考えられていた)四大元素≪地≫≪火≫≪風(気)≫≪水≫の象徴(寓意像)として表現されている。
【横倒しにされた大瓶から流れる水】
背景に描かれた湖とそこで翼を休める二羽の白鳥。本作で王女ヴィクトワールは(画面右部の)横倒しにされた水瓶や背景の白鳥が翼を休める湖が示すよう、水の象徴として描かれているが、このような神話的な要素や寓意を取り入れた肖像表現は当時の流行であった。
【背景に描かれた湖と翼を休める白鳥】 |