Description of a work (作品の解説)
2009/05/04掲載
Work figure (作品図)
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聖母被昇天

 (Assunzione della Vergine) 1735年頃
517×245cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀前半を代表する偉大なる画家ジョヴァンニ・バティスタ・ピアツェッタ最盛期の傑作『聖母被昇天』。バヴァリア大公(バイエルン公)であり、ケルン選帝侯やゲルマン教団長(ドイツ騎士団長)も兼ねていたクレメント・アウグストゥスの依頼によりフランクフルト近郊ザッハゼンハウゼンの教会の祭壇画として制作された本作は、聖母マリアの死から3日後、魂が身体に戻され、天使たちに取り囲まれながら魂と肉体が天上へと昇天してゆく場面≪聖母被昇天≫を主題に制作された作品である(※一部の研究者からは聖母被昇天までの3日間について、聖母は死んだのではなく、眠っていたとされる説も唱えられている)。当時のドイツ圏はルソーの宗教改革によってプロテスタント勢が大きな力を有しており、本作にもその意図が色濃く反映されている。画面下部には空になった聖母の墓に両手を広げながら驚愕する弟子や昇天する聖母マリアを見上げる弟子たちが劇的な仕草で配されている。画面上部には大天使ミカエルとガブリエルに護衛されながら聖母マリアの肉体と魂が、輝かしい光に包まれ昇天してゆく情景が躍動感溢れる姿で描かれている。この頃のピアツェッタは闇派(テネブロージ)と呼ばれる深い陰影を用いた劇的な表現から、軽やかな光と色彩に満ちた大気感に溢れる新たな表現へと様式的変化を示しており、本作はその代表的な初期の作例としても特に重要視されている。この優美的で神秘性も感じさせる表現様式の変化に関してはジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロとの接触も大きな要因のひとつに挙げられる。


【全体図】
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天上へと昇天する聖母マリアの肉体と魂。本作はバヴァリア大公(バイエルン公)であり、ケルン選帝侯やゲルマン教団長(ドイツ騎士団長)も兼ねていたクレメント・アウグストゥスの依頼によりフランクフルト近郊ザッハゼンハウゼンの教会の祭壇画として制作された宗教画である。



【昇天する聖母マリアの肉体と魂】
聖母を護衛する大天使ガブリエル。本作に描かれる主題は聖母マリアの死から3日後、魂が身体に戻され、大天使ガブリエルなど複数の天使たちに取り囲まれながら魂と肉体が天上へと昇天してゆく場面≪聖母被昇天≫である。



【聖母を護衛する大天使ガブリエル】
聖母の昇天に驚愕する弟子たち。この頃のピアツェッタは闇派(テネブロージ)と呼ばれる深い陰影を用いた劇的な表現から、軽やかな光と色彩に満ちた大気感に溢れる新たな表現へと様式的変化を示しており、本作はその代表的な初期の作例としても特に重要視されている。



【聖母の昇天に驚愕する弟子たち】

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