2009/06/12掲載
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聖フランチェスコの法悦(Estasi di san Francesco) 1729年寸法不明 | 油彩・画布 | キエリカーティ市立絵画館
法悦状態にある聖フランチェスコ。ヴィチェンツァのサンタ・マリア・ダラチェーリ聖堂の祭壇画として制作された本作は、フランシスコ修道会の創始者アッシジの聖フランチェスコが晩年期にアルヴェルナ山へと隠棲生活をおくる中、有翼の人間(天使)が現れ、その奇跡的歓喜に同氏が法悦(脱魂)状態になる場面≪聖フランチェスコの法悦≫を主題に描かれた作品である。
【法悦状態にある聖フランチェスコ】
眩い光に包まれる天使の姿。聖フランチェスコを抱く天使は神の威光を纏ったかのように画面の中で最も明瞭な光に包まれており、聖フランチェスコとの明暗対比は観る者を強く惹きつける。この感動的に仕上げられたピアツェッタ独特の光彩表現こそ本作の最も注目すべき点である。
【眩い光に包まれる天使の姿】
画面下部で書物を広げる聖レオーオ。画面中央に配される法悦の聖フランチェスコは深い陰影に包まれ心身共に極限的衰弱状態にあるものの、その身の全てを天使に預ける脱力的姿態や穏やかな様子の表情には、フランシスコ修道会の強い思想的感動と聖性を見出すことができる。
【書物を広げる聖レオーオ】 |