Description of a work (作品の解説)
2009/05/04掲載
Work figure (作品図)
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聖フィリッポ・ネリに顕現した聖母マリア


(Vergine appare a san Filippo Neri)
1725-26年 | 367×200cm | 油彩・画布
サンタ・マリア・デラ・コンソラツィオーネ聖堂(ヴェネツィア)

18世紀ヴェネツィア派の大画家ジョヴァンニ・バティスタ・ピアツェッタの代表作『聖フィリッポ・ネリに顕現した聖母マリア』。ヴェネツィアのサンタ・マリア・デラ・コンソラツィオーネ聖堂(通称デラ・ファーヴァ聖堂)の祭壇画として制作された本作は、フィレンツェの良家出身の聖人で大トリニティ病院や数多くの祈祷所、教会を建てるほか、オラトリオ会(音楽史におけるオラトリオの源泉のひとつ)の設立者としても知られる≪聖フィリッポ・ネリ≫の前に聖母マリアが顕現したという奇跡的体験を主題に描かれる作品で、18世紀イタリア最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロにも多大な影響を与えた。画面左上には幼子イエスを抱き多くの天使たちを伴った聖母マリアが威厳に満ちた姿で描き込まれている。その対角線上となる画面右下には聖母マリアの顕現に、両手を胸の少し前で合わせながら感動と崇拝の表情を浮かべつつ聖母を見上げる聖フィリッポ・ネリが配されている。また聖母マリアの右側には(聖母が身に着ける)青衣に身体を包む天使が、聖母の下(聖フィリッポ・ネリの左側)には背を向けた少年風の天使が配されており、この両者も対角的な関係性を示している。本作で最も注目すべき点は昇華的な人物の配置によるダイナミズムに溢れた場面展開と、明暗対比の大きな光源処理による緊迫感に富んだ感情表現にある。特に聖母マリアの青衣に身体を包む天使と、静かに聖フィリッポ・ネリへ視線を向ける聖母マリアの連続的な位置関係は、聖母の聖性や偉大性も同時に表現するという伝統的な絵画表現から逸脱した自由奔放な対象の扱い方であり、今も観る者の内面へ深く入り込んでくる。また画面最下部に描き込まれる赤い帽子(司祭帽)や頭蓋骨など静物(アトリビュート)の扱いも非常に優れている。


【全体図】
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聖フィリッポ・ネリへと視線を向ける聖母マリアと幼子イエス。本作はフィレンツェ出身の聖人≪聖フィリッポ・ネリ≫の前に聖母マリアが顕現したという奇跡的体験を主題に描かれる作品で、18世紀イタリア最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロにも多大な影響を与えた。



【視線を向ける聖母マリアと幼子イエス】
顕現した聖母マリアを見上げる聖フィリッポ・ネリ。画面左上には幼子イエスを抱き多くの天使たちを伴った聖母マリアが威厳に満ちた姿で描き込まれており、その対角線上となる画面右下には聖母マリアの顕現に、両手を胸の少し前で合わせながら感動と崇拝の表情を浮かべつつ聖母を見上げる聖フィリッポ・ネリが配されている。



【聖母マリアを見上げる聖フィリッポ・ネリ】
聖母マリアの青衣に身体を包む天使。この天使と、静かに聖フィリッポ・ネリへ視線を向ける聖母マリアの連続的な位置関係は、聖母の聖性や偉大性も同時に表現するという伝統的な絵画表現から逸脱した自由奔放な対象の扱い方であり、今も観る者の内面へ深く入り込んでくる。



【聖母マリアの青衣に身体を包む天使】

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