Description of a work (作品の解説)
2007/11/18掲載
Work figure (作品図)
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水浴のスザンナ(スザンナと長老たち)


(Suzanne au bain (Suzanne et vieillards)) 1704年前
205×145cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロココ美術萌芽期に活躍した画家ジャン=バティスト・サンテールの最も知られた代表作『水浴のスザンナ(スザンナと長老たち)』。1704年に王立絵画・彫刻アカデミーへの正式加入が認められた作品としても知られている本作に描かれるのは、旧約聖書≪ダニエル記≫へ補遺的に記される、裕福なユダヤ人ヨヤキムの妻スザンナの水浴を2人の長老達が覗き見し、スザンナへ「我々と関係しなければ、お前が若い男と姦通していると通報する」と脅迫し姦淫の要求をするが、スザンナに拒否されるとそれに腹を立て、脅迫どおりスザンナを姦通を犯した罪で死罪にするよう告発するも、少年であったダニエルが2人の長老達の告発に疑いを持ち、スザンナが何処で罪を犯したか2人へ別々に話を聞くと、一方は乳香樹の下で、もう一方は柏の木の下で、と別々の場所を答えたことから2人の長老達の虚偽を暴き、スザンナの無実を証明する逸話≪スザンナと長老たち≫で、画面中央に大きく描かれた水浴するスザンナの表現は特筆に値する出来栄えである。教義的信仰心を感じさせない世俗性(本主題≪スザンナと長老たち≫の教義は貞淑による主イエスの魂の救済)、プロポーション的美しさを強調する縦に長い手足や胴体、柔らかな光源によって浮かび上がる裸体の曲線美、スザンナに漂う独特の官能性などは古代彫刻やマニエリスム的な創造を思わせる。これらは後のロココ美術にも通じる美の表現であり、当時から観る者の心を強く惹きつけたのである。また画面左側にスザンナの水浴を覗き見、あわよくばその身体を奪わんとする2人の長老達が暗中に描かれており、スザンナと長老達の間に配される赤い布(欲望の象徴)と、スザンナの裸体を隠す(純潔を象徴する)白い布との対照性は、硬質的な石の浴場とスザンナの柔らかな肢体の形状・素材的な対照性にも通じている。


【全体図】
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独特な官能性を携えた水浴するスザンナ。1704年に王立絵画・彫刻アカデミーへの正式加入が認められた作品としても知られている本作に描かれるのは、旧約聖書ダニエル記へ補遺的に記される≪スザンナと長老たち≫で、画面中央に大きく描かれた水浴するスザンナの表現は特筆に値する出来栄えである。



【独特な官能性を携えたスザンナ】
柔らかな光源によって浮かび上がる裸体の曲線美。教義的信仰心を感じさせない世俗性、プロポーション的美しさを強調する縦に長い手足や胴体、柔らかな光源によって浮かび上がる裸体の曲線美、スザンナに漂う独特の官能性などは古代彫刻やマニエリスム的な創造を思わせる。



【浮かび上がる裸体の曲線美】
暗中に描かれる2人の長老。スザンナと長老達の間に配される赤い布(欲望の象徴)と、スザンナの裸体を隠す(純潔を象徴する)白い布との対照性は、硬質的な石の浴場とスザンナの柔らかな肢体の形状・素材的な対照性にも通じている。



【暗中に描かれる2人の長老】

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