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ジャン=バティスト・サンテール Jean-Baptiste Santerre
1651-1717 | フランス | ロココ
ロココ美術萌芽期において特に評価された画家のひとり。演劇的な表現の中に、感傷的でありながら甘美性、情緒性を携える独特の美の世界を創造し、画家としての確固たる地位を確立。また強い興味を示していた解剖学や遠近法に基づく的確で繊細な表現はサンテールの大きな様式的特徴のひとつである。作品の大多数が宗教画か人物画であるが、とりわけ肖像画や人物画の制作に才能を発揮し、特に神話上の人物に扮した肖像画や想像上の人物画は当時から高い評価を得ている。なお少数ではあるが日常的風俗画や歴史画も数点残されている。サンテールの(人物画・肖像画)作品には17世紀のフランドル絵画の影響が指摘されており、特に
アンソニー・ヴァン・ダイクからの影響は注目すべき点である。1651年、マニー=アン=ヴェクサンに生まれ、肖像画家フランソワ・ルメールに絵画を学ぶ。その後、同時代の画家ルイ・ド・ブーローニュの工房(ボン・ド・ブーローニュの工房とする説もある)に入り、解剖学や遠近法を学ぶと、それらへの興味や関心を高める。1698年、肖像画家として王立絵画・彫刻アカデミーに準会員として入り、1704年、代表作『
水浴のスザンナ(スザンナと長老たち)』、『ノエル・コワペルの肖像』により認められ、物語画家としてアカデミーへ正式に加入。その後、隆盛を誇っていたブルボン朝第3代フランス国王(太陽王)ルイ14世を始めとした権力者からの依頼や、オルレアン公の庇護を受けるなど、順調に画業の道を歩むが、1717年、パリで死去。サンテールはひとつの作品に対し、入念に制作をおこなっていた為、寡作な画家としても知られている。