2010/06/01掲載
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フレデリック・フランソワ・ショパンの肖像(Frédéric Chopin) 1838年 45.7×37.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 関連:『ジョルジュ・サンドの肖像』
中空を仰ぐようなショパンの視線。本作は19世紀前半期を代表するポーランド出身のロマン派の作曲家兼ピアニスト≪フレデリック・フランソワ・ショパン≫を描いた作品で、本来はショパンと極めて近しい関係にあったフランスの女流作家≪ジョルジュ・サンド≫の肖像画と合わせて一枚の作品であったことがルーヴル美術館に残されるデッサンによって判明している。
【中空を仰ぐようなショパンの視線】
未完を感じさせる荒々しい筆触。中空を仰ぐようにやや上部へ視線を向けるフレデリック・ショパンのどことなく夢想的な表情は彼が演奏に没頭している様子の現れであり、≪ジョルジュ・サンドの肖像≫で彼女が節目がちに眼を瞑りショパンのピアノに耳を傾ける姿と見事な呼応を示している。
【未完を感じさせる荒々しい筆触】 胸元から覗く白いシャツ。音楽を愛していたドラクロワはショパンのピアノ曲に強く傾倒していたことが知られており、またジョルジュ・サンドに対してもその人間性に魅力を感じていた為、本作はそのような両者との関係性から生まれたのであろうことは容易に連想することができる。
【胸元から覗く白いシャツ】 |