Description of a work (作品の解説)
2011/03/22掲載
Work figure (作品図)
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山峡におけるアラブ人たちの戦い


(Combat d'arabes dans la montagne) 1863年
92×74cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

19世紀のフランスで活躍したロマン主義絵画の偉大なる巨人ウジェーヌ・ドラクロワ最晩年期を代表する作品『山峡におけるアラブ人たちの戦い(アラブ人たちの山間での戦闘、アラビアでの税の徴収)』。本作はドラクロワが北アフリカ旅行中(1832年)にモロッコの外務大臣から「ここでは橋が少なく人の動きが限られるため、盗賊(山賊)を捕まえるのも、税を徴収するのも容易だ」という話と、同地の勇壮で広大な風景の思い出に典拠を得て、≪アラビアの兵士と山賊との徴税をめぐる戦闘≫を主題に手がけられた作品である。画面下部左側には近景として戦闘で負傷したのであろう横に倒れる大きな馬と大地に放り出されたアラブ兵士が配され、そこから右斜め上(画面中央右部)へ小さな土手に隠れながら山賊たちに発砲攻撃をおこなう兵士らが、さらに中景としてその左斜め上(画面中央左部)には必死にアラブ兵士らに抵抗する山賊の集団が描き込まれている。そして山賊の集団の上部には遠景として丘上の城(山賊らの棲家)が配置され、画面全体として画家の晩年期の大きな特徴である描かれる要素(モティーフ)によるZ字形の構図構成が形成されている。また描写表現に注目しても、構図構成によって強調される各登場人物の激しい運動性や北アフリカの強い陽光を感じさせる多様な色彩、さらには褐色的な戦闘場面(大地)と抜けるような青空との色彩対比の秀逸さは本作の特筆すべき点として挙げることができる。なお『アラビアでの税の徴収』という呼称はロボー伯が呼んだことに始まっている。


【全体図】
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山賊と戦闘するアラブの兵士たち。本作はドラクロワが北アフリカ旅行中(1832年)にモロッコの外務大臣の話と、同地の勇壮で広大な風景の思い出に典拠を得て、≪アラビアの兵士と山賊との徴税をめぐる戦闘≫を主題に手がけられた作品である。



【山賊と戦闘するアラブの兵士たち】
画面前景で倒れる兵士の姿。画面下部左側には近景として戦闘で負傷したのであろう横に倒れる大きな馬と大地に放り出されたアラブ兵士が配されるなど、、画面全体として画家の晩年期の大きな特徴である描かれる要素(モティーフ)によるZ字形の構図構成が形成されている。



【画面前景で倒れる兵士の姿】
遠方に聳える山賊の住処。構図構成によって強調される各登場人物の激しい運動性や北アフリカの強い陽光を感じさせる多様な色彩、さらには褐色的な戦闘場面(大地)と抜けるような青空との色彩対比の秀逸さは本作の特筆すべき点として挙げることができる。



【遠方に聳える山賊の住処】

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