Description of a work (作品の解説)
2010/04/26掲載
Work figure (作品図)
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怒れるメディア(激怒のメディア)


(Médée furieuse) 1836-38年
260×165cm | 油彩・画布 | リール市立美術館

19世紀フランス・ロマン主義の偉大なる画家ウジェーヌ・ドラクロワの重要な神話主題作品のひとつ『怒れるメディア(激怒のメディア)』。本作はギリシア神話に登場する英雄イアソンが王位を継ぐ条件としてコルキス国へ遠征(黄金の羊皮の探索)の際に助けを受け、また互いに恋に落ちた魔女≪メディア≫とコリントスへ逃亡した時、同地の王女グラウケーに心変わりした英雄イアソンに激怒し、己のイアソンとの間に生まれた二人の子供に手をかけようとする場面を描いた作品である(※ただし現在ではこのメディアによる子殺しは古代ギリシアの大詩人エウリピデスの脚色であるとも考えられている)。画面中央やや右側に描かれる魔女メディアは(イアソンへの復讐心を顕著に感じさせるかのように)後方を振り返りながら嫉妬と狂気の炎を宿した瞳を大きく見開き、両手で二人の子供を抱えている。左手には短刀が力強く握られており、今まさにそれを子供たちへ突き立てんとしている様子である。メディアに抱えられる金髪の子供は頬を紅潮させつつ、その目には涙を溜めて必死に逃れようとしており、黒髪の子供は母メディアの手にする短剣に恐々とした視線を向けている。気性の激しさでも知られるメディアの狂気だけではなく、夫イアソンに対する情熱的なメディアの感情性や、その感情への裏切りに対する冷酷なメディアの性格なども見事に表現される本作にはドラクロワのロマン主義的特長がよく示されている。なおオパリのルーヴル美術館やベルリンの国立美術館には本作のヴァリアントが所蔵されている。


【全体図】
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嫉妬と狂気の炎を宿したメディアの瞳。本作はギリシア神話に登場する英雄イアソンが魔女≪メディア≫とコリントスへ逃亡した時、同地の王女グラウケーに心変わりした英雄イアソンに激怒し、己のイアソンとの間に生まれた二人の子供に手をかけようとする場面を描いた作品である。



【嫉妬と狂気の炎を宿した瞳】
涙を溜める金髪の子供と恐々とした黒髪の子供。メディアに抱えられる金髪の子供は頬を紅潮させつつ、その目には涙を溜めて必死に逃れようとしており、黒髪の子供は母メディアの手にする短剣に恐々とした視線を向けている。



【恐々とした黒髪の子供】
魔女メディアが手にする短剣。画面中央やや右側に描かれる魔女メディアは(イアソンへの復讐心を顕著に感じさせるかのように)後方を振り返りながら嫉妬と狂気の炎を宿した瞳を大きく見開き、両手で二人の子供を抱えている。



【魔女メディアが手にする短剣】

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