2010/05/07掲載
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オフィーリアの死(La mort d'Ophélie) 1845-53年頃23×30.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 今まさに溺れて散らんとするオフィーリアの命。本作はシェイクスピアが手がけた四大悲劇のひとつ≪ハムレット≫第4幕7章を主題に、ハムレットが恋人オフィーリアを狂乱に追いやった末、小川で溺死させてしまう悲劇的場面を描いた作品である。
【溺れて散らんとするオフィーリアの命】 瀕死ながら命を繋ぎ止める右腕。オフィーリアは小枝を掴む右手・右腕以外は非常に脱力的であり瀕死の状態が如実に表されているが、だからこそ命を繋ぎ止める右腕との対比が際立っている。ここにドラクロワの見出したシェイクスピア文学へのロマンチシズム的精神性の絵画的展開を見出すことができる。
【瀕死ながら命を繋ぎ止める右腕】
水面に揺らめく衣服の多様な色彩。水面の直下で僅かに透き通りながら揺れるオフィーリアの身に着ける衣服の多様な色彩による表現や、オフィーリアへと当てられる光彩設計の効果は眼を見張る出来栄えを示している。
【水面に揺らめく衣服の多様な色彩】 |