Description of a work (作品の解説)
2009/12/10掲載
Work figure (作品図)
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女とオウム(オダリスク、おうむと女)


(Femme aux perroquet) 1827年
24.5×32.5cm | 油彩・画布 | リヨン美術館

フランス・ロマン主義の大画家ウジェーヌ・ドラクロワが手がけた裸婦作品の傑作『女とオウム(オダリスク、おうむと女)』。1827年に制作されたドラクロワの裸婦作品の中で最も有名なもののひとつとして数えられる本作は、ドラクロワの女性像の重要な着想元となった≪ロール嬢≫を裸婦のモデルに制作された作品で、彼女はほぼ同時期に画家が手がけた『ミソロンギの廃墟に立つギリシア』でもモデルを務めている。画面中央に配されるやや緑色を帯びた青色の長椅子にゆったりと横たわる裸婦は左手を床に着くほどだらりと脱力させ、やや節目がちに視線を傾けながら、一羽の鸚鵡(おうむ)へと手を伸ばしている。裸婦の脚は左足を上にして組まれているが、下となる右足は質の良さを感じさせる光沢を放つ座布団(クッション)の上に置かれている。裸婦の身に着ける腕輪、頭部の面紗(ベール)、首飾り、そして柔らかく座る長椅子や鸚鵡などは当時の東方趣味の影響と吸収を感じさせるものの、本作において、より注目すべき点はその色彩の豊かさにある。縦24.5cm、横32.5cmとドラクロワの作品の中では非常に小作な部類に属する本作ではあるが、そこに用いられる色彩、画面左側の赤色と黄色のカーテン、青色の長椅子とそこへ掛けられる大きい葡萄色(又はワインレッド)の織物と減法混色の三原色を大胆に起用しながら画面全体としては非常に気品高い雰囲気を観る者に与えることに成功している。さらに裸婦のしなやかで丸みを帯びた身体へ落ちる微妙な陰影の変化がドラクロワが使用する色彩を効果的に引き立て、繊細な印象を与えつつ、流動的でやや大ぶりな筆触によって女性の姿には華やかな生命力を見出すことができる。なお本作を手がける前々年頃に、本作と双璧を為す裸婦の小作『白い靴下の裸婦(白靴下の女)』を手がけている。

関連:『白い靴下の裸婦(白靴下の女)』


【全体図】
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ゆったりと長椅子に横たわる裸婦の姿。1827年に制作されたドラクロワの裸婦作品の中で最も有名なもののひとつとして数えられる本作は、ドラクロワの女性像の重要な着想元となった≪ロール嬢≫を裸婦のモデルに制作された作品である。



【ゆったりと長椅子に横たわる裸婦】
組まれた脚の微妙な陰影。裸婦のしなやかで丸みを帯びた身体へ落ちる微妙な陰影の変化が画家が使用する色彩を効果的に引き立て、繊細な印象を与えつつ、流動的でやや大ぶりな筆触によって女性の姿には華やかな生命力を見出すことができる。



【組まれた脚の微妙な陰影】
画面下部に配される一匹の鸚鵡(おうむ)。本作に用いられる色彩、画面左側の赤色と黄色のカーテン、青色の長椅子とそこへ掛けられる大きい葡萄色(又はワインレッド)の織物と減法混色の三原色を大胆に起用しながら画面全体としては非常に気品高い雰囲気を観る者に与えることに成功している。



【画面下部に配される一匹の鸚鵡】

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