Description of a work (作品の解説)
2009/11/12掲載
Work figure (作品図)
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サルダナパロスの死(サルダナパールの死)


(La mort de Sardanapale) 1827-28年
395×495cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロマン主義の大画家ウジェーヌ・ドラクロワが手がけた作品の中で最も同主義の特徴が示される、画家屈指の代表作『サルダナパロスの死(サルダナパールの死)』。1827年から翌28年に開催されたサロンに出品され、尋常ならぬほどの批判を浴びることとなった本作は、19世紀初頭に活躍した英国を代表する詩人ジョージ・ゴードン・バイロンの詩集(戯曲)≪サルダナパロス≫に主要な着想を得ながら、同詩集の内容を大きく改変させた光景として描かれた作品である(※サルダナパロスは古代ギリシアにおける古代アッシリア帝国サルゴン朝の最後の王アッシュール・バニパルの異名である)。バイロンの詩集で扱われるサルダナパロスは、支配下の民衆のための益を望んだ王であり、反乱軍の謀略によって失墜する王の最後は、毅然と態度を崩さず自ら火葬の階段を登ってゆく高貴な姿で書き出されているものの、本作に描かれるサルダナパロスは全く逆の様子である。画面上部中央より左側へ配されるサルダナパロスは、鮮やかな赤色の敷布で覆われ黄金の象で装飾された寝具で片肘を突き寝そべりながら周囲の光景を無表情・無感情で眺めている。その周囲では己の死の後に存在することを許さなかった王の命令によって、臣下や近衛兵、奴隷らが、サルダナパロスの財宝を破壊し、寵姫や寵馬など王の快楽のための全ての者や動物を殺害する極めて暴力的な様子が近景として克明に描かれている。さらに画面上部やや右部分へはサルダナパロスが火葬される処刑台が描き込まれている。本作が批評家たちから激しく攻撃される要素となったのは、遠近法を無視した空間表現や奔放で激情的な運動性、過度に鮮烈さを感じさせる色彩など描写的特長のほか、異国情緒に溢れた東方趣味(オリエント)的主題選定、破壊的で改革的な思想、狂乱的な官能性を始めとした感情的意識など、当時≪理想美≫とされていた古代ギリシア・ローマに基づく新古典主義の保守的で典型的な様式と対極に位置する表現を用いたためである。しかしこれらの要素こそロマン主義の本質であり、当時のフランス美術界における≪反義≫そのものであり、故に今なおロマン主義絵画の最高峰として位置付けられているのである。なお本作がサロンで公開された際、当時の美術大臣が画家に対して「公的な仕事を請けたければ、別の表現で描かなければならない」と警告を与えたとの逸話も残されている。


【全体図】
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目の前の殺戮的光景を傍観するサルダナパロス。1827年から翌28年に開催されたサロンに出品され、尋常ならぬほどの批判を浴びることとなった本作は、19世紀初頭に活躍した英国を代表する詩人ジョージ・ゴードン・バイロンの詩集(戯曲)≪サルダナパロス≫に主要な着想を得ながら、同詩集の内容を大きく改変させた光景として描かれた作品である。



【殺戮を傍観するサルダナパロス】
王の寝台の上に倒れる王の愛妾。サルダナパロスの周囲では己の死の後に存在することを許さなかった王の命令によって、臣下や近衛兵、奴隷らが、王の財宝を破壊し、寵姫や寵馬など王の快楽のための全ての者や動物を殺害する極めて暴力的な様子が近景として克明に描かれている。



【王の寝台の上に倒れる王の愛妾】
殺害される王の寵姫の官能的な姿。本作の遠近法を無視した空間表現や奔放で激情的な運動性、過度に鮮烈さを感じさせる色彩など描写的特長のほか、異国情緒に溢れた東方趣味(オリエント)的主題選定、破壊的で改革的な思想、狂乱的な官能性を始めとした感情的意識などが批判の的となった。



【殺害される王の寵姫の官能的な姿】
王の寵馬を引き寄せる奴隷の躍動的な姿。ロマン主義の本質が示される本作がサロンで公開された際、当時の美術大臣が画家に対して「公的な仕事を請けたければ、別の表現で描かなければならない」と警告を与えたとの逸話も残されている。



【王の寵馬を引き寄せる奴隷の躍動感】

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