Description of a work (作品の解説)
2010/01/12掲載
Work figure (作品図)
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エプソムの競馬

 (Derby d'Epsom) 1821年
92×122.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランスロマン主義の先駆者テオドール・ジェリコーの代表作『エプソムの競馬』。本作はフランス国内で大きな物議を呼んだ画家の問題作『メデュース号の筏』を英国ロンドンで公開する為に同地へ赴いた際に制作された、ロンドン南西に位置する由緒正しき競馬場≪エプソム競馬場≫で開催された≪ダービーステークス(ダービーステークス)≫の情景を描いた作品で、ロンドン滞在時に宿泊所などを提供した馬商人エルモアのために画家が制作したとされている。画面中央には芝生の上を疾走する4頭の競走馬と、競走馬に跨りながら鞭を振るう騎手らの臨場感に溢れる様子が描かれており、競走馬の躍動感に満ちた描写は観る者を惹きつける。しかし本作に描かれる競走馬の≪フライング・ギャロップ≫と呼ばれる、まるで宙を飛んでいるかのような前後の脚を揃え広げる古典的な描写は現実には有り得ない馬の動きであり、それ故、制作当時は批判も受けている。ジェリコーは画家としては異例なほど熱狂的な馬の愛好家で、青年期に動物画家カルル・ヴェルネの許で修行していたこともあり、動物、特に馬の描写には長けていたにも関わらず本作では非現実的な≪フライング・ギャロップ≫にて競走馬を描写しているが、これは疾走する競走馬の最も重要な要素である≪速度≫を表現するために用いたことに他ならない。本作には偏愛的に馬を愛好していたジェリコーだからこそ描くことのできた馬の魅力の本質がよく捉えられている。


【全体図】
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全速力で競馬場を疾走する競走馬。本作はロンドン南西に位置する由緒正しき競馬場≪エプソム競馬場≫で開催された≪ダービーステークス(ダービーステークス)≫の情景を描いた作品で、ロンドン滞在時に宿泊所などを提供した馬商人エルモアのために画家が制作したとされている。



【全速力で競馬場を疾走する競走馬】
現実には有り得ない前後の脚を揃え広げる古典的な描写。本作に描かれる競走馬の≪フライング・ギャロップ≫と呼ばれる、まるで宙を飛んでいるかのような前後の脚を揃え広げる古典的な描写は現実には有り得ない馬の動きであり、それ故、制作当時は批判も受けている。



【脚を揃え広げる古典的な描写】
競走馬に跨り鞭打つ騎手たち。本作の競走馬は≪フライング・ギャロップ≫にて描写されるが、これは疾走する競走馬の最も重要な要素である≪速度≫を表現するために用いたことに他ならない。本作には偏愛的に馬を愛好していたジェリコーだからこそ描くことのできた馬の魅力の本質がよく捉えられている。



【競走馬に跨り鞭打つ騎手たち】

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