2009/10/04掲載
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黒衣のアルバ女公爵(Duquesa de Alba) 1797年210×149.5cm | 油彩・画布 | アメリカ・ヒスパニック協会 関連:1795年頃制作 『白衣のアルバ女公爵』
観る者へと視線を向ける無表情なアルバ女公爵。1762年にスペイン随一の貴族アルバ公爵家に生まれ、14歳の時に第13代アルバ公爵位を継承したマリア・デル・ピラール・カイェターナは、美貌、性格、財産、家柄など全ての面において当時のスペイン社交界で傑出した存在であり、最も魅惑に溢れた人物として人々の注目を集めていた女性であった。
【視線を向けるアルバ女公爵】
丹念かつ繊細に描き込まれた衣服の表現。ゴヤと極めて親密な関係にあったアルバ女公爵の右手の中指にはめられる黄金の指輪には≪Alba(アルバ)≫と刻まれており、さらに人差し指は示す地面には≪Solo Goya(ゴヤだけ)≫と記されている。
【丹念かつ繊細に描き込まれた衣服】
大地に記される≪Solo Goya(ゴヤだけ)≫の文字。この大地に記された≪Solo Goya≫の文字は近年おこなわれた洗浄によって浮かび上がってきたものであり、絵の具で重ね塗りされ隠蔽されていた意味からも両者の関係が秘匿的であったことを如実に物語っている。
【大地に記される≪Solo Goya≫の文字】 |