Description of a work (作品の解説)
2010/06/09掲載
Work figure (作品図)
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砂に埋もれる犬(黒い絵)


(Un pero semihundido en arena) 1820-23年頃
146×83cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペインロマン主義最大の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤを代表する連作、通称≪黒い絵≫の中の1点『砂に埋もれる犬(黒い絵)』。画家が1819年の2月にマドリッド郊外マンサナレス河畔に購入した別荘≪聾の家(聾者の家)≫の壁画のひとつとして2階サロンに描かれ、1870年代に壁面の漆喰ごと画布に写された本作は、荒野とも砂地とも見ることができる地の中へ埋もれるように犬を描いた心理的象徴性を強く感じさせる作品で、かつては「流れに逆らう犬」とも呼ばれていたことが知られている。画面下部へ土にも似た濃茶色の砂に埋もれ頭部だけが僅かに見える一匹の犬が描かれているが、その表情はまるで希望に縋り助けを求めるかのような物悲しげな印象を観る者に与える。さらに砂地より一段階明瞭な色彩である黄土色の背景には何も描き込まれず、唯々虚空的な空間が広がるのみである。本作のあたかも犬を飲み込むかのような砂地やその流れは生と死の運命の象徴と考えられており、そのような点から本作の解釈には政治的にも経済的にも不安定な状態であったスペインそのものの象徴とする説、混迷が続く祖国スペインに翻弄される民衆とする説、大病から回復するも明確に死を意識する画家自身の象徴とする説など様々な説が唱えられているものの、その真意はもはやゴヤ本人のみが知るところである。


【全体図】
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砂地から頭部のみを出す犬。画家が1819年の2月にマドリッド郊外マンサナレス河畔に購入した別荘≪聾の家(聾者の家)≫の壁画のひとつとして2階サロンに描かれた本作は、荒野とも砂地とも見ることができる地の中へ埋もれるように犬を描いた心理的象徴性を強く感じさせる作品で、かつては「流れに逆らう犬」とも呼ばれていたことが知られている。



【砂地から頭部のみを出す犬】
生と死の運命を象徴する流れる砂地。画面下部へ土にも似た濃茶色の砂に埋もれ頭部だけが僅かに見える一匹の犬が描かれているが、その表情はまるで希望に縋り助けを求めるかのような物悲しげな印象を観る者に与える。さらに砂地より一段階明瞭な色彩である黄土色の背景には何も描き込まれず、唯々虚空的な空間が広がるのみである。



【生と死の運命を象徴する流れる砂地】
唯、空間だけが広がる背景。本作の解釈には政治的にも経済的にも不安定な状態であったスペインそのものの象徴とする説、混迷が続く祖国スペインに翻弄される民衆とする説、大病から回復するも明確に死を意識する画家自身の象徴とする説など様々な説が唱えられている。



【唯、空間だけが広がる背景】

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