2010/11/07掲載
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ゴヤとアリエータ医師(Goya curado por el doctor Arrieta) 1820年 114.6×76.5cm | 油彩・画布 | ミネアポリス美術館
懸命に治療する主治医アリエータ。本作はゴヤ自身3度目となる重病(腸チフス。チフス菌による感染症の一種)に罹り倒れるものの、画家の主治医であったアリエータ医師の迅速な対応によって一命を取り留めたことに対する献辞として制作された作品である。
【治療する主治医アリエータ】 ぐったりと倒れる瀕死のゴヤ。病に倒れるゴヤは血色が失せた土気色の顔をだらりと外側へ向け、力なく医師の処置を受けているが、その姿は死の直前にある様を容易に連想させる。
【ぐったりと倒れる瀕死のゴヤ】 闇の中に浮かぶ頭部。画面背後には3名の頭部を確認することができ、特に左端に配されるアリエータ(又は司祭)に類似する頭部の描写進捗の状況から本作には油彩習作とする説も唱えられている。
【闇の中に浮かぶ頭部】 画面下部に記される医師に対する謝意。ほぼ正面から捉えられる絵画構成や位置関係、そして後の「黒い絵」に通じる老い、病気、死という主題を大きな明暗の対比と簡潔な画面によって表現される本作には3度目の重病から復帰して、なお衰えない画家の芸術に対する情熱と独創性を見出すことができる。
【画面下部に記される医師に対する謝意】 |