Description of a work (作品の解説)
2010/03/02掲載
Work figure (作品図)
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ガスパール・メルチョール・デ・ホベリャーノスの肖像


(Gaspar Melchor de Jovellanos) 1798年
205×133cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

18世紀スペイン・ロマン主義の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤが手がけた肖像画の代表的作例のひとつ『ガスパール・メルチョール・デ・ホベリャーノスの肖像』。本作はゴヤの友人であり、また重要なパトロンのひとりでもあった、自由主義を代表する政治家兼スペイン・ロマン主義の詩人≪ガスパール・メルチョール・デ・ホベリャーノス≫の肖像画作品で、ホベリャーノスが法務大臣に就任した翌年となる1798年に制作された。ホベリャーノスは当時の異端審問に疑問を呈し、農業改革など近代化を推し進める政策で知られ、当時のスペインの批判的精神を代表するかのような人物であり、この博学な政治家は早くからゴヤに対して深い理解と擁護を示していたことが知られている。残される書簡などからマドリッドではなく法廷が開催されていたアランフェスで制作されていたことが判明している本作では、画面のほぼ中央へホベリャーノスが椅子に腰掛け豪奢な机の肘を付いた姿勢で配されているが、やや虚ろな表情やこの姿態は「憂鬱性(メランコリー)」を示しているのは明白である。また右手には四つ折の書簡らしきものを手にしており、諸外国にも通じる18世紀の慣習的な構図が用いられながらも尊大な印象はなく、温和でより自然体なホベリャーノスの雰囲気を感じることができる。さらに画面右上にはホベリャーノスの精神性や性格性を表すかのように、盾を手にする知恵(学問)と芸術を司るローマ神話の女神ミネルウァ(※ギリシア神話の女神アテネと同一視される)の彫像が配されている。後にホベリャーノスは宰相となったヌエル・デ・ゴドイによって、政治犯としてマジョルカ島に幽閉される憂き目に遭うものの、本作からは同氏の知的な人物像をよく感じることができる。


【全体図】
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虚ろな瞳と憂鬱的な頬杖。本作はゴヤの友人であり、また重要なパトロンのひとりでもあった、自由主義を代表する政治家兼スペイン・ロマン主義の詩人≪ガスパール・メルチョール・デ・ホベリャーノス≫の肖像画作品である。



【虚ろな瞳と憂鬱的な頬杖】
散らかる机上に付かれた肘。ホベリャーノスは当時の異端審問に疑問を呈し、農業改革など近代化を推し進める政策で知られ、当時のスペインの批判的精神を代表するかのような人物であり、この博学な政治家は早くからゴヤに対して深い理解と擁護を示していたことが知られている。



【散らかる机上に付かれた肘】
背後に描き込まれる女神ミネルウァの彫像。画面右上にはホベリャーノスの精神性や性格性を表すかのように、盾を手にする知恵(学問)と芸術を司るローマ神話の女神ミネルウァ(※ギリシア神話の女神アテネと同一視される)の彫像が配されている。



【背後に描き込まれる女神ミネルウァ】

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