Description of a work (作品の解説)
2010/05/06掲載
Work figure (作品図)
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マドリード市の寓意


(Alegoría de la Villa de Madrid) 1810年
260×195cm | 油彩・画布 | マドリード市立美術館

18世紀ロマン主義の大画家フランシスコ・デ・ゴヤの代表作『マドリード市の寓意』。対仏独立戦争中に親仏派のマドリッド市からゴヤに依頼され制作された本作は、内紛状態にあったスペイン・ブルボン朝への影響力を強める目的で1809年にスペイン王として即位した≪ホセ1世(本名ジョゼフ・ボナパルト。フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの兄)≫を称える記念碑的作品で、当時は同市の市庁舎に飾られていた。画面中央やや左に配される女神の姿で表されたマドリード市の寓意像は同市の紋章である山桃と熊が描かれた盾を右側に携え、左手では2天使が掲げる大型のメダル(メダイヨン)を指差している。さらに画面上部に配される中空を浮遊する天使らはトランペットと月桂樹を手にしており、これらはそれぞれ名声(トランペット)と勝利(月桂樹)を意味している。本作で最も注目すべき点は本日までに6度描き直しがされているメダイヨンにある。当初はホセ1世の肖像画が描かれていたメダイヨンであるが、同王のマドリード市からの退去に伴いカディス憲法(スペイン1812年憲法)の銘文が刻まれ、ホセ1世の再来と共にまた同王の肖像画が描かれるが、ホセ1世の決定的な廃位で再びカディス憲法の銘文が描かれている。さらにスペイン・ブルボン朝直系であるフェルナンド7世の即位時には同士の肖像画が、その後、憲法を賞賛する2種の銘文へと描き換えられた後、現在の1808年5月2日に起こったマドリッド市民によるフランス軍への抵抗事件を記念する≪DOS DE MAYO(ドス・デ・マヨ。5月2日の意)≫に至っている。ゴヤ自身、また後世の画家によって度々修正が加えられている本作には当時のスペインの政治的激動とその歴史が刻まれているに等しく、そのような意味でも特に重要視されている。


【全体図】
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堂々たるマドリッド市の寓意像。対仏独立戦争中に親仏派のマドリッド市からゴヤに依頼され制作された本作は、内紛状態にあったスペイン・ブルボン朝への影響力を強める目的で1809年にスペイン王として即位した≪ホセ1世≫を称える記念碑的作品である。



【堂々たるマドリッド市の寓意像】
名声のトランペットを吹く天使の姿。マドリード市の寓意像は同市の紋章である山桃と熊が描かれた盾を右側に携え、左手では2天使が掲げる大型のメダルを指差している。さらに画面上部に配される中空を浮遊する天使らはトランペットと月桂樹を手にしており、これらはそれぞれ名声(トランペット)と勝利(月桂樹)を意味している。



【名声のトランペットを吹く天使】
度々描き直されたメダイヨン。これまでに6度ほど描き直しがされているメダイヨンには現在、1808年5月2日に起こったマドリッド市民によるフランス軍への抵抗事件を記念する≪DOS DE MAYO(ドス・デ・マヨ。5月2日の意)≫と描かれている。



【度々描き直されたメダイヨン】

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