2010/08/31掲載
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羊の頭のある静物(羊頭とあばら骨)(Nature morte à la tête de mouton) 1808-1812年頃 45×64cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ) 物悲しい瞳で描かれる羊の頭部。画家の財産目録に記された12点の連作厨房画(ボデゴン)の1点である本作は、皮を剥がれた≪羊の頭部と胸部(あばら骨)≫を主題に描いた、画家の内面的本質を表したかのような粗野しく物悲しい作品である。
【物悲しい瞳で描かれる羊の頭部】
量塊感を感じさせるあばら骨。羊の頭部には、まるで全てを達観、諦観するかのようなどんよりとした瞳と欠けた歯が印象的な口の表情による≪ヴァニタス(人生の空しさ)≫という死生的寓意を見出すことができる。
【量塊感を感じさせるあばら骨】 羊の血で記される画家の署名。あまりにも実直で理想を除外した写実主義的描写にはゴヤの美を超越する絵画的本質を感じることができる。なお羊の頭部の頬下には流れた羊血で「goya(ゴヤ)」と記されている。
【羊の血で記される画家の署名】 |