Description of a work (作品の解説)
2011/04/25掲載
Work figure (作品図)
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運命の女神たち


(Las Parcas (El destino)) 1821-23年
123×266cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

ロマン主義の偉大なる巨匠、18世紀後半から19世紀初頭にかけて活躍したスペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤ晩年期の連作群≪黒い絵≫より『運命の女神たち』。ゴヤがマドリッド郊外マンサナレス河畔に購入した別荘≪聾の家(聾者の家)≫2Fサロンの壁画として制作された本作は、ギリシア神話で人間の運命を決定する三女神ラケシス、クロト、アトロポスの≪モイライ≫を主題とした作品で連作黒い絵の中でも特に象徴的・記念碑的傾向を感じさせる。画面のほぼ中央では新生児から生命の糸を創出しているかのような仕草をみせる、人型の物から黒糸を曳き測る女神ラケシスが描かれており、その背後では女神クロトがレンズを片手に運命の糸を紡ぎ割り当てする用意を示している。そして右端では女神アトロポスがその終焉で糸を断ち切らんと待ち構えている。ここで注目すべきは女神クロトと女神アトロポスの間に配される正面を向いたひとりの人物で、モイライ姉妹(運命の三女神)が司る運命を背負う(又は運命に捕らわれる)人間の、さらには暗い動向がなお続いていた自身や国そのものの象徴的存在と捉えることができる。


【全体図】
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人間の運命を手繰り測る女神ラケシスの姿。ゴヤがマドリッド郊外マンサナレス河畔に購入した別荘≪聾の家(聾者の家)≫2Fサロンの壁画として制作された本作は、ギリシア神話で人間の運命を決定する三女神ラケシス、クロト、アトロポスの≪モイライ≫を主題とした作品である。



【女神ラケシスの姿】
レンズを片手に人間を運命を紡ぎ割り当てる女神クロトの姿。連作黒い絵の中でも特に象徴的・記念碑的傾向を感じさせる本作では新生児から生命の糸を創出しているかのような仕草をみせる、人型の物から黒糸を曳き測る女神ラケシスが画面のほぼ中央へ描かれている。



【女神クロトの姿】
生命の終焉時に運命の糸を断ち切る女神アトロポスの姿。ラケシスの背後では女神クロトがレンズを片手に運命の糸を紡ぎ割り当てする用意を示している。そして右端では女神アトロポスがその終焉で糸を断ち切らんと待ち構えている。



【女神アトロポスの姿】
運命に捕らわれ翻弄される人物。正面を向いたひとりの人物は、モイライ姉妹(運命の三女神)が司る運命を背負う(又は運命に捕らわれる)人間の、さらには暗い動向がなお続いていた自身や国そのものの象徴的存在と捉えることができる。



【運命に捕らわれ翻弄される人物】

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