2010/01/28掲載
■
鰯の埋葬(Entierro de la sardina)1812-19年頃 | 82.5×52cm | 油彩・画布 王立サン・フェルナンド美術アカデミー(マドリッド) 様々な仮装をして踊る民衆たち。画家の有力なパトロンのひとりであったマヌエル・ガルシア・デ・ラ・プラーダが旧蔵していた本作は、毎年2月上旬、四旬節(レント)を向える謝肉祭(カーニバル)最後の3日間にマドリッドでおこなわれるスペインの伝統的な祝祭≪鰯の埋葬≫に画題とする制作された作品である。
【様々な仮装をして踊る民衆たち】 喧騒的かつ狂乱的な民衆の様子。動物、司祭、アルルカン(道化師)、兵士、死神など様々な仮装をした市民たちが、祈り、断食、慈善など禁欲と節制の日々が始まる四旬節に備えて贅や愚行・享楽への最後の告別を目的に嬉々と踊りあかしている姿が躍動的に描き込まれている。
【喧騒的かつ狂乱的な民衆の様子】
(ある種の)不気味さすら感じられる笑い顔の描かれた大旗。種の集団的興奮状態にある群衆の様子には推定制作時期の対仏独立戦争の影響も見出すことができ、画家の社会的情勢と集団化した下級市民層への関心の高さを窺い知ることができる。
【笑い顔の描かれた大旗】 |