Description of a work (作品の解説)
2010/05/09掲載
Work figure (作品図)
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クリスティーヌ・ボワイエ

 (Christine Boyer) 1800年
214×134cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランスロマン主義の重要な画家アントワーヌ=ジャン・グロを代表する肖像画作品のひとつ『クリスティーヌ・ボワイエ』。後に皇帝となるナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)の弟として知られるリュシアン・ボナパルトの依頼により手がけられた本作は、夭折した依頼主の妻≪クリスティーヌ・ボワイエ≫を、モデルの死後に描いた全身肖像画で、グロとクリスティーヌ・ボワイエは直接面識がなく、他の画家の肖像画を元に制作された。画面中央に描かれるクリスティーヌ・ボワイエは依頼主リュシアンが彼女を埋葬したプレシー=シャルマンの庭園を連想させる背景の中で、観る者との視線の交わりを外すかのようにやや俯き、憂鬱で儚げな表情を浮かべつつ、軽く両腕を組みながら薔薇が流れる小川の前に立っている。クリスティーヌ・ボワイエの表情は若くして亡くなった自身の運命を暗示するかのような印象を観る者に与え、また英国の肖像画様式の影響が明確に示される彼女の立つ(当時の思想的雰囲気を色濃く残す)鬱蒼とした森の自然的な風景にはクリスティーヌの心情と深く結びつく精神性を感じることができ、ここにロマン主義的全身肖像表現の典型を見出すことができる。さらに色彩や光彩表現に注目しても、クリスティーヌが身に着ける透き通った純白のドレスや肩に掛けられた(品質の良さを感じさせる)赤いショールと絶妙な対比を示す背景の緑褐色、そして深い陰影が支配する背景で一際輝くクリスティーヌ・ボワイエへ当てられた光彩描写にはグロの画家としての非常に高い力量を感じずにはいられない。


【全体図】
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やや俯き儚げな表情を浮かべるクリスティーヌ・ボワイエ。ナポレオンの弟として知られるリュシアン・ボナパルトの依頼により手がけられた本作は、夭折した依頼主の妻≪クリスティーヌ・ボワイエ≫を、モデルの死後に描いた全身肖像画である。



【儚げな表情を浮かべるクリスティーヌ】
非常に写実的で優美な姿態表現。クリスティーヌ・ボワイエは観る者との視線の交わりを外すかのようにやや俯き、憂鬱で儚げな表情を浮かべつつ、軽く両腕を組みながら薔薇が流れる小川の前に立っている。



【非常に写実的で優美な姿態表現】
モデルとの精神的共鳴が感じられる背景。クリスティーヌ・ボワイエの表情は若くして亡くなった自身の運命を暗示するかのような印象を観る者に与え、また彼女の立つ鬱蒼とした森の自然的な風景にはクリスティーヌの心情と深く結びつく精神性を感じることができる。



【精神的共鳴が感じられる背景】

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