Description of a work (作品の解説)
2009/10/27掲載
Work figure (作品図)
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ヤッファのペスト患者を訪れるナポレオン・ボナパルト


(Bonaparte visitant les pestiféré de Jaffa) 1804年
523×715cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロマン主義における偉大なる先人アントワーヌ=ジャン・グロを代表する作品『ヤッファのペスト患者を訪れるナポレオン・ボナパルト』。1804年のサロンに出品され人々から熱い視線を集めた本作は、1799年にフランス軍がイスラエル(パレスチナ)の都市ヤッファを攻略した数日後、英雄ナポレオン・ボナパルトが同地を訪れ、ペストを患った兵士たちが溢れる病院で患者らを見舞う姿を描いた作品である。画面中央よりやや右へ配される英雄ナポレオン・ボナパルトはペストを患った瀕死的な兵士のひとりと対峙し、勇敢にもその患部へ手を伸ばしている。その光景や英雄の行いは、まるで神話画や宗教画の登場人物を思わせるようなほど崇高で神々しい印象を観る者に与えることに成功しているおり、さらにナポレオンの背後で鼻を押さえ悪臭を遮るベルティエ元帥の姿を始めとした周囲の人物らがそれをより強調している。そして光によって画面中で明確に浮かび上がる本場面とは対照的に、征服されたヤッファの人々(アラブ人や東洋人)は画面左下の深い影が落ちる瓦礫の上や壁際で力なく竦むのみである。このヤッファ訪問後、英雄ナポレオンはペストの蔓延を防ぎ軍隊に遅延が発生しないよう、患者らに毒薬を飲ませる命令を下していたことが現在では明らかとなっており、本作の陰惨で残忍なこの事実を感じさせずナポレオンの英雄的側面が強調された場面設定や構成、表現は特に注目すべき点である。


【全体図】
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勇敢にペスト患者を見舞う英雄ナポレオンの姿。1804年のサロンに出品され人々から熱い視線を集めた本作は、1799年にフランス軍がイスラエル(パレスチナ)のヤッファを攻略した数日後、英雄ナポレオン・ボナパルトが同地を訪れ、ペストを患った兵士たちが溢れる病院で患者らを見舞う姿を描いた作品である。



【勇敢にペスト患者を見舞うナポレオン】
画面最前面で力なく倒れるヤッファの人々。本作の光景は、まるで神話画や宗教画の登場人物を思わせるようなほど崇高で神々しい印象を観る者に与えることに成功しているおり、さらにナポレオンの背後で鼻を押さえ悪臭を遮るベルティエ元帥の姿を始めとした周囲の人物らがそれをより強調している。



【力なく倒れるヤッファの人々】
フランス軍の制圧を示す掲げられた国旗。ヤッファ訪問後、英雄ナポレオンはペストの蔓延を防ぎ軍隊に遅延が発生しないよう、患者らに毒薬を飲ませる命令を下していたことが現在では明らかとなっており、本作の陰惨で残忍なこの事実を感じさせずナポレオンの英雄的側面が強調された場面設定や構成、表現は特に注目すべき点である。



【掲げられた国旗】

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