2011/09/30掲載
■
古代ローマ、ゲルマニクスの遺灰を持って上陸するアグリッピナ(Ancient Rome : Agrippina Landing with the Ashs of Gremanicus) 1839年以前 91.5×122cm | 油彩・画布 | テイト・ギャラリー(ロンドン)
テーヴェレ川を横断する凱旋橋。本作は古代ローマ帝国第2代皇帝ティベリウスの甥でアンティオキアに没したゲルマニクス・ユリウス・カエサルの遺骨を彼の妻アグリッピナが壷に入れ、ローマへ持ち帰るために同地を出発し、ブリンディジへ上陸したとされる古代史の逸話を主題とした作品である。
【テーヴェレ川を横断する凱旋橋】
陽光に輝く宮殿。画家は本作をロイヤル・アカデミーに出品した際「明澄なる流れよ、あぁ、陽の没する間にさえも、老いたるテーヴェレ川は光り輝く。(※テーヴェレ川=ローマへと流れるイタリアの大河)」との詩句を添えたことが知られている。
【陽光に輝く宮殿】
ぼんやりと霞む月。光を存分に感じさせる輝度の描写や神秘性すら漂わせる全体の表現には画家の強い独自性と抽象性を見出すことができる。
【ぼんやりと霞む月】
情景を反射する水面。本作の画題の後には「凱旋橋と修復されたカエサルの宮殿」と続くほか、対の作品として「現代のローマ、カンポ・ヴィッチーノ(個人蔵)」が知られている。
【情景を反射する水面】 |