Description of a work (作品の解説)
2010/02/07掲載
Work figure (作品図)
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ヴェネツィアを描くカナレット


(Canaletto draws Venice) 1833年
51×82.5cm | 油彩・画布 | テート・ギャラリー(ロンドン)

19世紀英国ロマン主義の大画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作『ヴェネツィアを描くカナレット』。1833年のロイヤル・アカデミーへの出品作としても知られる本作は1819年の初訪を始め、生涯で数回訪れているイタリア北東部の自治都市≪ヴェネツィア≫を描いた作品で、同地出身であり、ターナーを始めとした英国絵画に多大な影響を与えた18世紀イタリアの景観画家カナレットへの賛辞が示されている。遠景として画面奥に広がるのは左からヴェネツィアの象徴的な建築物であるパラツィオ・ドゥカーレ(ドゥカーレ宮殿)やサン・マルコ広場、現在では観光名所としても知られる息橋(溜息の橋)、そして造幣局などが細やかな筆触で丹念に描かれている。そして近〜中景として描かれるヴェネツィアの大運河の水面には遠景の風景が映り込んでおり幻想的な雰囲気を漂わせている。この水面の描写には画家がイタリア旅行での経験に基づきながら光や色彩に対する独自の表現手法の模索を見出すことができる。そして特筆すべきは最近景として画面左側へ配される船着場でイーゼルを立て絵画を描くカナレットの存在にある。ターナーが本作を手がけるまでに数回来訪したイタリアで最も強く惹かれた画家のひとりであり故郷ヴェネツィアの景観画で英国を始めとした諸外国まで名を馳せたカナレットを画家という存在のまま自身の作品の中へ描き入れたことは、カナレットに対するターナーの最大限の賛辞と解釈できるが、それとと共にターナー自身のカナレットへの挑戦であることも意味している。


【全体図】
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遠景に広がるサン・マルコ広場。1833年のロイヤル・アカデミーへの出品作としても知られる本作は1819年の初訪を始め、生涯で数回訪れているイタリア北東部の自治都市≪ヴェネツィア≫を描いた作品で、ターナーなど英国の画家に多大な影響を与えた同地出身の景観画家カナレットへの賛辞が示されている。



【遠景に広がるサン・マルコ広場】
水面に反射するヴェネツィアの建物。そして近〜中景として描かれるヴェネツィアの大運河の水面には遠景の風景が映り込んでおり幻想的な雰囲気を漂わせている。この水面の描写には画家がイタリア旅行での経験に基づきながら光や色彩に対する独自の表現手法の模索を見出すことができる。



【水面に反射するヴェネツィアの建物】
画面の中へ描き入れられたカナレットの姿。ヴェネツィアの景観画で英国を始めとした諸外国まで名を馳せたカナレットを自身の作品の中へ描き入れたことは、カナレットに対するターナーの最大限の賛辞と解釈できるが、それとと共にターナー自身のカナレットへの挑戦であることも意味している。



【描き入れられたカナレットの姿】

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